3. 営業利益30%減の要因とキャッシュフローの実態

当期利益の激減が会計上のマジックであったとはいえ、本業の儲けを示す営業利益自体も、前期の1815億円から1264億円へと約30%(551億円)減少している事実は見逃せません。

この減益の背景には何があったのでしょうか。

泉田氏は決算説明会資料のウォーターフォールチャート(滝つぼ型のグラフ)を用いて、営業利益を押し下げた要因を紐解いていきます。そこには、複数のマイナス要因が積み重なっている状況が示されていました。

特に泉田氏が注目したのが、将来の成長に向けた投資である「研究開発費」の増加です。

前期と比較して研究開発費が247億円増加しており、これが利益を大きく圧迫する要因の一つとなっています。

さらに、販売費及び一般管理費(販管費)も186億円増加しており、こうしたコストの増加が重なった結果、営業利益のマイナスにつながっています。

2025年営業利益変動要因3/4

2025年営業利益変動要因

出所:ヤマハ発動機「2025年12月期 決算説明会資料」(2026年2月13日)p.7

利益が減少している中で、会社の実態である「現金を生み出す力」はどうなっているのでしょうか。泉田氏は、損益計算書(PL)だけでなく、キャッシュフロー計算書(CF)を確認することの重要性を強調します。

営業活動によるキャッシュフロー(本業で稼いだ現金)は、前期の1768億円から今期は1386億円へと減少しています。これは、税引前利益が減少しているため、自然な結果と言えます。

一方で、設備投資などに使われる投資活動によるキャッシュフローは、前期のマイナス1287億円から今期のマイナス861億円へと、キャッシュアウト(現金の流出)が抑制されています。

その結果、営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引いた、企業が自由に使える現金である「フリーキャッシュフロー」に注目すると、意外な事実が浮かび上がります。

2025年実績のフリーキャッシュフローは525億円となり、前期の481億円とほぼ同水準を維持しているのです。つまり、利益の見た目は悪化していても、会社に手元に残る現金の量は変わっていないということになります。

【動画で解説】ヤマハ発動機、当期利益85%減の主因は?