2026年度(令和8年度)の公的年金は、物価や賃金の変動を反映し、前年度からさらなる引き上げが決定しました。
しかし、ニュースで報じられる「増額」を手放しで喜べないのがシニア世代のリアルな本音です。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によると、年金にゆとりがないと感じている世帯の「老後生活に対する不安の理由」は、60歳代・70歳代ともに単身・二人以上世帯を問わず「物価上昇等により費用が増えていくとみているから」が半数以上(51.0%〜57.9%)を占め、トップとなっています。
額面が増えても、物価高や天引きされる健康保険料・介護保険料、税金の負担を考慮しなければ、真の生活水準は見えてきません。
また、2025年に成立した年金制度改正法により、「106万円の壁」の撤廃や在職老齢年金の基準緩和など、働き方そのものが大きな転換期を迎えています。
今回は、2026年度の最新年金額や年代別の受給実態を振り返るとともに、法改正がもたらす「仕事と年金」の新しいバランスについて詳しく解説します。
1. 【最新】2026年度 4月分からの公的年金額《国民年金の満額&厚生年金モデル夫婦》月額いくら?
公的年金の年金額は、賃金や物価の動きを反映して年度ごとに見直されます。2026年度は、前年度から国民年金(基礎年金)が 1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の引上げとなります。
この改定率は、すでに6月に支給される「4月・5月分の年金」から適用されます。すでに年金を受給している人には、6月の支給タイミングに合わせて日本年金機構から新しい年金額が記載された通知書類が届きます。
1.1 2026年度「国民年金の満額&厚生年金モデル夫婦世帯の年金額」
2026年度の国民年金と厚生年金の年金額例
- 国民年金(老齢基礎年金(満額):1人分)(※1):7万608円
厚生年金:(夫婦2人分)(※2):23万7279円
※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額7万408円(対前年度比+1300円)
※2 厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
2. 年金は「額面通り」にもらえない?年金振込通知書で分かる「天引き」と「手取り」のリアル
2.1 6月に届く「年金額改定通知書・年金振込通知書」
すでに年金を受給している人に、毎年6月に日本年金機構から届くのが「年金額改定通知書」「年金振込通知書」です。
- 年金額改定通知書:今年度(4月分以降)の年金額がいくらになったかが分かります。
- 年金振込通知書:年金から天引き(特別徴収)される税金や社会保険料の内訳と、実際に振り込まれる手取り額(振込額)が記載されています。
2.2 年金からの天引き内容が分かる「年金振込通知書」
老齢年金から天引きされる税や社会保険料
- 介護保険料
- 公的医療保険(国民健康保険・後期高齢者医療制度)の保険料
- 個人住民税および森林環境税
- 所得税および復興特別所得税
このように、年金からも、現役時代と同様に介護保険料、医療保険料、住民税、所得税など特別徴収(天引き)されるお金があります(※)。
「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できるのはあくまで「額面の見込み額」であり、手取り額はそれより少ない点に注意が必要です。
※ただし、年金の受給額が年額18万円未満の場合など、年金からの天引きとならないケースもあります。


