3. 20年越しの悲願。ABEMA黒字化がもたらす意味

ゲーム事業が利益の大半を稼ぐ一方で、サイバーエージェントの経営陣が長年こだわり続けてきたのが「メディア事業」です。

泉田氏は2002年頃から同社を担当していた経験を振り返り、当時の状況を語りました。

サイバーエージェントの祖業はインターネット広告の代理店事業であり、現在でも売上高(1146億円)としては社内最大規模を誇ります。

しかし広告代理業は利益率が低いため、藤田晋前社長は20年以上前から「利益率の高いメディア事業を育てたい」と公言し、Amebaブログなどの立ち上げに注力してきました。

「メディアにどう取り組むかっていうのがこの会社の長期的な経営のテーマ。そこに急にゲームが出てきたんだよね」

泉田氏は、経営陣の想定を超えてゲーム事業が巨大化してしまったものの、会社としての本丸はあくまでメディア事業の育成にあると分析します。

決算説明会資料でも、利益が最大のゲーム事業や売上が最大の広告事業ではなく、メディア&IP事業が常に一番上に記載されている点に、経営陣の強い「こだわり」と投資家へのメッセージが込められていると指摘しました。

そして今回の決算で最も注目すべきトピックが、動画配信サービス「ABEMA」の四半期黒字化です。

2018年の開局以来、長年にわたって数十億円規模の赤字を出しながらも投資を続けてきたABEMAが、ついに利益を生み出すフェーズに入ったのです。

ABEMAの業績推移を解説する泉田氏3/5

ABEMAの業績推移を解説する泉田氏

出所:イズミダイズム

「売上が159億円もあるのに、利益が5000万円というのは収益性が低いのではないか?」という鋭い質問が出ると、泉田氏は社会の構造変化を交えてその意義を解説しました。

「課金して好きな時に好きなコンテンツ見るっていうカルチャーが当たり前になってきたので、ここの採算の黒字化も成立してきてるのかなとは思います」

NetflixやDAZNのように、良質なコンテンツにお金を払うサブスクリプションの文化が日本でも定着したことで、ABEMAのビジネスモデルが浸透しつつあります。

「メディア事業がしっかり黒字化してきたっていうのはすごいポジティブだと思ってて、それって構造的なものだからゲームのようなブレもない」

ゲーム事業のような激しいボラティリティを持たず、毎月安定して収益が積み上がるストック型のメディア事業が黒字化したことは、サイバーエージェントの全社業績の安定化に向けて非常に大きな一歩だと泉田氏は評価しています。

【元機関投資家が動画で解説】サイバーエージェント、20年越しの悲願であるメディア事業(ABEMA)の黒字化