2026年(令和8年)4月、いよいよ新年度の幕が開けました。今年度の公的年金額は、1月に厚生労働省から発表された通り、物価や賃金の変動を反映して4年連続の増額となります。

しかし、手放しで喜べる状況とは言い切れません。今回の改定率は、物価上昇率(3.2%)を下回る水準にとどまっており、家計の実質的な購買力という点では「実質的な目減り」が続いているのが現状です。

また、政府内では従来の現金給付とは一線を画す「給付付き税額控除」といった新しい支援策の議論も本格化しており、日本の社会保障制度は今、大きな転換期を迎えています。

物価高騰が続く時代において、納得感のある老後生活を設計するためには、まずは「今のシニア世代が実際にいくら年金を受け取っているのか」というリアルな数字を知ることが不可欠です。

本記事では、最新の統計資料に基づき、60歳代から80歳代までの年齢別・男女別の平均年金月額を詳しく紐解いていきます。

1. 【2026年4月分~】厚生年金・国民年金は増額改定。基礎年金満額・厚生年金モデル世帯はひと月いくら?

公的年金の支給水準は、毎年の物価や現役世代の賃金動向に応じて見直される仕組みです。

2026年1月23日に厚生労働省が公表した2026年度(令和8年度)の年金額例によると、4月分から適用される改定率は、国民年金(基礎年金)で+1.9%、厚生年金(報酬比例部分)で+2.0%となりました。

  • 国民年金(老齢基礎年金・満額):月額7万608円(1人分 ※1
  • 厚生年金(夫婦2人分のモデルケース):月額23万7279円(夫婦2人分※2

※1 昭和31年4月1日以前に生まれた方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万9108円(前年度比+1300円)です。
※2 平均的な収入(賞与を含む月額換算で45万5000円)の男性が40年間就業した場合に受け取り始める年金額(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金満額)の給付水準です。

国民年金(老齢基礎年金)だけを受給するケースでは、保険料を40年間すべて納付した満額受給者であっても、月々の支給額は7万円に届かないのが現状です。

また、年金の受け取り開始を75歳まで遅らせる「繰下げ受給」(※4)制度を活用して増額を図った場合でも、月額は13万円には達しません。

※3 国民年金の保険料を40年間(480カ月)納付した場合に、65歳から受け取れる満額の年金額を指します。
※4 繰下げ受給とは、年金の受け取り開始を66歳から75歳までの間で遅らせる制度です。1カ月遅らせるごとに0.7%増額され、75歳開始では最大84%増額されます。

さらに、これらの金額はあくまで「モデル世帯」の例に過ぎません。実際の年金額は、現役時代の働き方、年金への加入期間、そして収入によって一人ひとり大きく異なります。

ご自身の年金見込み額については、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」などを通じて、あらかじめ確認しておくことが大切です。