自由選挙もない中国が一部の市場経済を取り入れたり、経済全体を国有企業が仕切っていたり、南シナ海を含めた周辺国地域への軍事的影響力を強めている事を踏まえた分析をしないと、米中の新冷戦を否定する一部論者や学者では知識が豊富であっても、結論は見い出せないのです。
昨年4月に米国の連邦通信委員会(FCC)はファーウェイとZTEの機器を使うことを禁じています。8月にファーウェイ、ZTEといった中国企業5社の通信機器や監視機器の使用を禁止しています。加えてこれらの企業の機器を利用する企業からの調達まで禁止しているのです。この事実を軽く捉えると本質を見誤ることにも繋がってきます。
なぜなら他国企業であっても米国企業の部品やソフトを含む物をファーウェイに販売した場合には、その企業が米国企業との取引禁止や罰金の制裁を受けるからです。つまりはファーウェイと取引する何処の国の企業であっても、米国市場から締め出され取引を禁止するといった制裁を意味しているからなのです。
■ 米国は本気で制裁を課す国である
しかしトランプ大統領は29日午後G20サミット閉幕後に記者会見をし、中国の習近平国家主席との貿易交渉を今後も続けることで合意したと述べた。そして当面の間は中国に対し新たな制裁関税は課さないと約束をしている。
これで「第4弾」の制裁関税は当面は回避された格好ですが、むしろ戦いはこれからなのです。米側は制裁発動をいったん猶予しているだけであり、双方が通商協議のテーブに戻り、まずは緊張緩和をはかるというだけと言うのが多方の見解のようです。
佐々木 泉二