物価高や平均賃金に応じて「年金」は毎年少しずつ変わりますが、2026年度は4年連続の増額となり、注目が集まっています。一方で、「年金制度はこの先も続くのか」と将来への不安も依然としてあるのが現実です。今回は、最新の年金額とGPIFの運用データをもとに、老後資金を支える仕組みを整理して解説します。

1. 6月から変わる《老齢基礎年金》「月1300円」の増額。実際にもらえる平均額はいくら?

国民年金(基礎年金)と厚生年金の組み合わせである老齢年金は、シニア世代の暮らしを支える収入源となります。2026年4月分からは物価や賃金の動きを踏まえて年金額が見直され、国民年金は前年度より1300円増え、満額は月7万608円となります。

今年度は4年連続の増額改定であり、国民年金は1.9%、厚生年金は2.0%の引上げとなります。

1.1 厚生年金の平均月額15万289円

実際の年金受給額を見ると、厚生年金の平均は月15万289円ですが、男性は約17万円、女性は約11万円と差があります。

厚生年金平均月額2/7

厚生年金平均月額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

厚生年金の平均年金月額は、全体では15万289円でした。男女別は下記のとおりです。

  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

※国民年金部分を含む

さらに、1万円未満から30万円以上まで幅広く分布しており、個人差の大きさがはっきり表れています。

こうした年金制度を支えているのが、年金積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)です。次の章で詳しくGPIFについてみていきましょう。

2. 年金積立金を運用で増やす《GPIF》累積収益額は「プラス196兆3721億円」

GPIFは保険料のうちすぐに使われない資金を運用し、将来の年金財源を増やす役割を担っています。GPIFは、一時的な市場の変動にとらわれず、さまざまな資産を長期間にわたって持ち続ける「長期運用」を行うことで安定的な収益を目指しています。

2.1 累積収益は+196兆円!「長期・分散」がもたらす安定運用の成果

GPIFの運用は、長期的な視点で見ると着実に成果を出しています。市場運用を開始した2001年度から2025年度の第3四半期末までの累積収益額は、+196兆3721億円にのぼります。

このうち、利子や配当といった安定的な収入(インカムゲイン)だけでも+60兆2838億円を獲得しています。現在の運用資産額は約293兆円という世界最大級の規模となっており、市場環境に左右されつつも、長期的な視点で年金財政の下支えを担っています。

3. 個人もマネできる?《GPIF》基本ポートフォリオとは?

年金積立金は、安全性と収益性のバランスを取るために分散投資で運用されています。2025年12月末時点(2025年度第3四半期)の最新速報によれば、資産は国内債券・外国債券・国内株式・外国株式の4つに分けられ、それぞれおおむね25%ずつ配分する「基本ポートフォリオ」が採用されています。特定の資産に偏らず、長期的に安定した運用成果を目指す考え方です。

この背景には、「どの資産が将来上がるかを予測し続けるのは難しい」という前提があります。そのため、値動きの異なる資産を組み合わせることで、価格変動のリスクを抑える仕組みになっています。短期的な市場の動きに応じて大きく配分を変えるのではなく、あらかじめ決めた割合を維持することが基本とされています。

3.1 なぜ「オルタナティブ資産」に投資するのか?さらなる収益の底上げを狙う

さらに近年は、株式や債券に加えて「オルタナティブ資産」と呼ばれる分野への投資も進められています。これはインフラ(電力・交通)、非上場企業への出資(プライベート・エクイティ)、不動産などを指し、比較的高い収益が期待できる一方で、流動性が低いという特徴があります。

こうした資産は、全体の上限5%までと明確に枠が設けられています。分散効果を高めつつリスクを抑えるためで、伝統的資産とのバランスを保ちながら、長期的な収益の底上げを狙う運用となっています。

4. まとめにかえて

今回は、2026年度の年金額改定とGPIFの運用について解説しました。老齢基礎年金は月1300円増額され、満額は約7万円となりました。

厚生年金の平均は約15万円ですが、男女差や個人差が大きい点も特徴です。こうした年金は、約293兆円を運用するGPIFの長期・分散投資によって支えられています。

まずは「ねんきん定期便」で自分の受給額を確認し、将来の生活設計に役立ててみましょう。制度の仕組みを知ることが、安心につながる第一歩です。

参考資料

橋本 優理