6月も下旬に入り、待ちに待った「夏のボーナス」が支給されはじめて、使い道をあれこれと計画する方もいるのではないでしょうか。

その一方で、物価高や初夏の電気代上昇などの影響により、「今月のやりくりだけで精一杯、ボーナスも日々の生活費の補填で消えてしまう…」とため息をついている方もいるでしょう。

特に、すべてを自分一人の収入でコントロールしなければならない単身世帯(おひとりさま)にとって、将来の生活防衛や老後資金の準備は極めて切実な課題です。

SNSやネット上では「平均貯蓄額〇〇万円」といった景気の良い数字が躍ることもありますが、実際の実感に近いとされる「中央値」や、貯蓄の二極化の実態はどうなっているのでしょうか。

今回は、公的機関による最新の世論調査データをもとに、30代から60代までのおひとりさまのリアルな貯蓄事情を整理し、お金が貯まる人と貯まらない人の決定的な違いについて詳しくお届けします。

1. 【単身世帯(おひとりさま)の貯蓄事情】年代別に「平均値・中央値」を一覧表でみる

まずは、最新の単身世帯の貯蓄状況について、金融経済教育推進機構が公表した「2025年 家計の金融行動に関する世論調査」のデータをもとに確認していきます。

平均貯蓄額

平均貯蓄額

出所:金融経済教育推進機構「2025年家計の金融行動に関する世論調査」をもとにLIMO編集部作成

 

1.1 【30歳代】おひとりさま世帯の貯蓄額(平均・中央値)

  • 金融資産非保有:32.3%
  • 100万円未満:14.2%
  • 100~200万円未満:14.2%
  • 200~300万円未満:4.9%
  • 300~400万円未満:4.3%
  • 400~500万円未満:2.8%
  • 500~700万円未満:5.5%
  • 700~1000万円未満:3.1%
  • 1000~1500万円未満:5.5%
  • 1500~2000万円未満:4.3%
  • 2000~3000万円未満:2.5%
  • 3000万円以上:3.4%
  • 無回答:3.1%
  • 平均:501万円
  • 中央値:100万円

30歳代では平均が500万円を上回る一方で、中央値は100万円となっています。

金融資産を保有していない世帯が32.3%、100万円未満が14.2%となる一方、3000万円以上の層も3.4%存在しています。

1.2 【40歳代】おひとりさま世帯の貯蓄額(平均・中央値)

  • 金融資産非保有:32.1%
  • 100万円未満:15.1%
  • 100~200万円未満:7.1%
  • 200~300万円未満:5.9%
  • 300~400万円未満:4.3%
  • 400~500万円未満:2.2%
  • 500~700万円未満:6.2%
  • 700~1000万円未満:4.6%
  • 1000~1500万円未満:6.2%
  • 1500~2000万円未満:1.2%
  • 2000~3000万円未満:2.8%
  • 3000万円以上:9.9%
  • 無回答:2.5%
  • 平均:859万円
  • 中央値:100万円

40歳代の中央値は30歳代と同様に100万円ですが、平均は300万円以上増えています。

また、3000万円以上の割合は約1割です。

1.3 【50歳代】おひとりさま世帯の貯蓄額(平均・中央値)

  • 金融資産非保有:35.2%
  • 100万円未満:10.1%
  • 100~200万円未満:7.4%
  • 200~300万円未満:4.6%
  • 300~400万円未満:2.7%
  • 400~500万円未満:3.3%
  • 500~700万円未満:4.9%
  • 700~1000万円未満:4.6%
  • 1000~1500万円未満:6.0%
  • 1500~2000万円未満:3.3%
  • 2000~3000万円未満:5.5%
  • 3000万円以上:10.4%
  • 無回答:1.9%
  • 平均:999万円
  • 中央値:120万円

50歳代では中央値が120万円に上昇し、平均も1000万円に近づいています。

一方で、金融資産非保有が35.2%、100万円未満が10.1%と、貯蓄が少ない世帯も見られます。

1.4 【60歳代】おひとりさま世帯の貯蓄額(平均・中央値)

  • 金融資産非保有:30.4%
  • 100万円未満:9.1%
  • 100~200万円未満:4.3%
  • 200~300万円未満:2.4%
  • 300~400万円未満:4.5%
  • 400~500万円未満:3.1%
  • 500~700万円未満:6.0%
  • 700~1000万円未満:4.8%
  • 1000~1500万円未満:8.1%
  • 1500~2000万円未満:4.1%
  • 2000~3000万円未満:5.5%
  • 3000万円以上:15.6%
  • 無回答:2.2%
  • 平均:1364万円
  • 中央値:300万円

60歳代では中央値が300万円まで上昇しており、平均は1364万円となっています。

ただし、金融資産非保有を含めると約4割が100万円未満となっています。

2. 「貯蓄を持っている人」と「貯蓄を持っていない人」の違いは何がある?

年代ごとの貯蓄額について平均や中央値を確認してきましたが、その結果からは個人ごとのばらつきが大きいことが分かります。

「貯蓄がある人」と「貯蓄がない人」との違いは、主に次のような点に表れると考えられます。

2.1 違い1:お金の状況を具体的に把握しているか、していないか

貯蓄の有無によって差が広がりやすいポイントとして、「お金の状況をどれだけ具体的に把握しているか」が挙げられます。

たとえば家計収支では、収入と支出を可視化することで「なぜ貯蓄ができていないのか」が明確になります。

また、「何にお金を使うのか」「どこを抑えるのか」「どのような生活を送るのか」といった判断もしやすくなるでしょう。

さらに、貯蓄額についても具体的に把握しておくことが重要です。

現在の残高や毎月の積立額、このままのペースで10年後にいくらになるのかなど、数字として確認しておく必要があります。

加えて、「老後の年金見込み額」もねんきんネットで確認可能です。

公的年金だけで生活するのは難しいケースが多いため、まずは自身の年金受給見込みを把握しておきましょう。

2.2 違い2:自動で貯まる先取り貯蓄をしているか、していないか

日々の忙しさからお金の管理が後回しになりがちな人ほど、「自動で積み立てる先取り貯蓄」の仕組みを活用することが重要です。

金融機関によっては、給与日にあわせて一定額を自動で積み立てる定期預金などのサービスが用意されている場合もあります。

こうした仕組みを取り入れることで、意識せずとも継続的に貯蓄しやすくなります。

2.3 違い3:お金の情報を取り入れているか、取り入れていないか

資産運用にはリスクが伴い、難しそうという印象から「怖い」「よく分からない」「手間がかかりそう」と感じて、最初から情報収集を避けてしまう人もいます。

しかし、情報を把握しているかどうかによって、その後に選べる選択肢は大きく変わります。

まずは知ることから始め、十分に調べたうえで判断することが重要です。

リスクを過度に避けるのではなく正しく理解し、自分のリスク許容度の範囲内で行動することが求められるでしょう。

3. 周囲の数字に一喜一憂せず、今日から「貯まる習慣」の第一歩を踏み出そう

ここまで、年代別のおひとりさまのリアルな貯蓄事情や、貯蓄格差を生む3つの習慣について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。

周囲の貯蓄額、特に自分と同じ単身世帯のデータを目にすると、「自分は平均より下かもしれない」と焦りや将来への不安を感じる方もいるかもしれません。

しかし、現在の貯蓄額が多いか少ないかよりも本当に重要なのは、今日から「お金が貯まる側の習慣」へと行動を切り替えることです。

夏のボーナスや給与が口座に入ったこのタイミングだからこそ、まずはスマホの家計簿アプリや通帳を開き、自分が毎月何にいくら使っているのかを可視化することから始めてみてください。

離れて暮らす同じ単身の友人や、老後を迎える親御さんとも「最近、固定費の見直しをしてみたんだ」「新NISAの積立設定ってどうしてる?」と、お金に関する前向きな情報交換をしてみるのも良い刺激になります。

周囲の数字に一喜一憂せず、まずは自身の家計を丁寧にコントロールする一歩を踏み出していきましょう。

4. 【監修者のコメント】この記事の総括と注意点

齊藤 慧
最新の世論調査データが示す通り、現在の日本における貯蓄事情は、保有額を順調に伸ばしている世帯と、生活費の高騰で貯蓄ができていない世帯の「二極化」が非常に鮮明になっています。

ここで貯蓄習慣のない人がやってしまいがちなNG行動は、焦るあまりに中身をよく理解していない高リスクな投資信託や金融商品にいきなり手を出してしまうことです。

資産形成の絶対的な鉄則は、投資を始める前に、まず『毎月の生活費の3カ月〜半年分』を急な病気やトラブルに対応できる流動性資金(現金・預貯金)として確実に確保することです。

その上で、会社の財形貯蓄や、新NISAなどのつみたて機能を活用し、毎月の給与から「先取り」で自動的に貯まる仕組みを作ることが、意思の力に頼らない防衛策となります。

まずは自身の金融知識をアップデートするためにも、国や公的機関(Jが提供している無料の学習ツールや公式ホームページのシミュレーターを活用し、自身のライフステージに合わせた無理のないマネープランを公的な窓口や専門家とともに作ってみることをおすすめします。

参考資料