3月も下旬に差し掛かり、桜の便りが聞かれる季節となりました。
新年度を目前に控え、新生活の準備に追われている方も多いのではないでしょうか。
この春、昇進や転職、あるいは新社会人として新たな一歩を踏み出すことで、収入の増加が見込まれるご家庭もあるかもしれません。
その一方で、引越し費用や物価の上昇、新しい習い事など、支出が増加するケースも少なくないでしょう。
このように生活環境が大きく変わりやすい時期は、家計全体を見直すのに最適なタイミングといえます。
特に収入や支出に変化がある今だからこそ、これまでの貯蓄方法が自分に合っているか、一度立ち止まって考える良い機会です。
今回は、単身世帯(おひとりさま)の貯蓄額に焦点を当て、年代別の平均値と中央値を詳しく見ていきます。
さらに、着実に貯蓄を増やしている人とそうでない人の違いについても考察します。
ご自身の状況と照らし合わせながら、今後の資産形成について考えるきっかけにしてみてください。
1. 「おひとりさま」の平均貯蓄額はいくら?年代別の平均・中央値と比較してみよう
はじめに、単身世帯の貯蓄額について、金融経済教育推進機構が公表している「2025年家計の金融行動に関する世論調査」のデータをもとに確認していきましょう。
1.1 30歳代単身世帯の貯蓄額、その平均と中央値は?
- 金融資産非保有:32.3%
- 100万円未満:14.2%
- 100~200万円未満:14.2%
- 200~300万円未満:4.9%
- 300~400万円未満:4.3%
- 400~500万円未満:2.8%
- 500~700万円未満:5.5%
- 700~1000万円未満:3.1%
- 1000~1500万円未満:5.5%
- 1500~2000万円未満:4.3%
- 2000~3000万円未満:2.5%
- 3000万円以上:3.4%
- 無回答:3.1%
- 平均:501万円
- 中央値:100万円
30歳代のデータを見ると、平均貯蓄額は501万円、より実態に近いとされる中央値は100万円です。
内訳を見ると、「金融資産非保有」が32.3%、「100万円未満」が14.2%を占める一方で、3000万円以上の資産を持つ方も3.4%存在することがわかります。
1.2 40歳代単身世帯の貯蓄額、平均と中央値の実態
- 金融資産非保有:32.1%
- 100万円未満:15.1%
- 100~200万円未満:7.1%
- 200~300万円未満:5.9%
- 300~400万円未満:4.3%
- 400~500万円未満:2.2%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:4.6%
- 1000~1500万円未満:6.2%
- 1500~2000万円未満:1.2%
- 2000~3000万円未満:2.8%
- 3000万円以上:9.9%
- 無回答:2.5%
- 平均:859万円
- 中央値:100万円
40歳代の中央値は30歳代と同じく100万円でした。しかし、平均額は859万円と300万円以上増加しており、特に3000万円以上の資産を保有する層が9.9%と約1割に達している点が特徴的です。
1.3 50歳代単身世帯の貯蓄額、平均と中央値から見える現状
- 金融資産非保有:35.2%
- 100万円未満:10.1%
- 100~200万円未満:7.4%
- 200~300万円未満:4.6%
- 300~400万円未満:2.7%
- 400~500万円未満:3.3%
- 500~700万円未満:4.9%
- 700~1000万円未満:4.6%
- 1000~1500万円未満:6.0%
- 1500~2000万円未満:3.3%
- 2000~3000万円未満:5.5%
- 3000万円以上:10.4%
- 無回答:1.9%
- 平均:999万円
- 中央値:120万円
50歳代では中央値が120万円に上昇し、平均額も999万円と1000万円に迫ります。
まとまった資産を築いている世帯が見られる一方で、「金融資産非保有」が35.2%、「100万円未満」が10.1%と、貯蓄が十分でない世帯も依然として存在します。
1.4 60歳代単身世帯の貯蓄額、平均と中央値はいくら?
- 金融資産非保有:30.4%
- 100万円未満:9.1%
- 100~200万円未満:4.3%
- 200~300万円未満:2.4%
- 300~400万円未満:4.5%
- 400~500万円未満:3.1%
- 500~700万円未満:6.0%
- 700~1000万円未満:4.8%
- 1000~1500万円未満:8.1%
- 1500~2000万円未満:4.1%
- 2000~3000万円未満:5.5%
- 3000万円以上:15.6%
- 無回答:2.2%
- 平均:1364万円
- 中央値:300万円
60歳代になると、中央値は300万円へと大きく上昇します。
これは退職金や相続による資産増が影響していると考えられます。
平均額は1364万円に達しますが、その一方で「金融資産非保有」と「100万円未満」を合わせると約4割にのぼり、資産状況の二極化が進んでいる様子がうかがえます。
2. 貯蓄ができる人と、できない人の違いはどこにあるのか
では、着実に貯蓄を増やせる人と、なかなか貯蓄ができない人の間には、どのような違いがあるのでしょうか。主なポイントを3つ見ていきましょう。
2.1 違いその1:収入や支出など、お金の流れを把握できているか
支出には、住居費や食費、水道光熱費、通信費といった生活費のほか、社会保険料のような非消費支出も含まれます。
これらの項目に毎月いくら使っているかを正確に把握することが、家計改善の第一歩です。
例えば、通信プランは新しいサービスが次々と登場するため、定期的な見直しが節約につながります。
また、保険や定額制のサブスクリプションサービスなども、生活スタイルの変化に合わせて本当に必要かを見直すことが大切です。
「貯蓄額」についても、現在いくらあるのか、毎月いくら貯蓄できているのか、そしてこのペースで10年後にはいくらになるのかを具体的に把握することが重要です。
さらに、自身の「年収」を客観的に評価するために、同年代や同業種の平均年収を知ることもキャリアプランを考える上で役立ちます。
老後資金については、「ねんきんネット」で将来の年金受給見込額を確認できます。
公的年金だけで生活するのは一般的に難しいといわれているため、まずは現実的な金額を把握し、老後資金準備への意識を高めることが推奨されます。
2.2 違いその2:自動的にお金が貯まる仕組みを活用しているか
日々の生活が忙しいと、資産形成に時間を割くのは難しいものです。
「余裕ができたら貯蓄しよう」と考えていても、つい後回しになったり忘れてしまったりすることが少なくありません。
そこで効果的なのが、「自動で貯まる仕組み」を作ることです。
多くの金融機関では、給料日に指定した金額を自動的に定期預金などに振り替える「自動積立」サービスを提供しています。
このような仕組みを利用すれば、意思の力に頼らずとも自然と貯蓄が増えていくため、着実にお金を貯めることが期待できるでしょう。
2.3 違いその3:お金に関する情報を積極的に収集しているか
iDeCo(個人型確定拠出年金)や新しいNISA制度など、お金に関する制度や環境は常に変化しています。
以前に比べて投資を始めやすい環境が整い、情報も手に入れやすくなりました。
しかし、「資産運用はリスクが怖い」「仕組みが複雑で面倒」といった理由から、情報収集そのものを避けてしまう人も少なくありません。
ただ、情報を知っているかどうかで、将来の選択肢は大きく変わってきます。
まずは情報に触れ、内容をきちんと調べることが重要です。
その上で、リスクを正しく理解し、自身が受け入れられる範囲(リスク許容度)で行動することが求められます。
資産運用には確かにリスクが伴いますが、効率的に資産を増やす可能性があるのも事実です。
これは投資に限らず、あらゆる物事にはメリットとデメリットが存在します。
お金に関する情報から目を背けず、積極的に学んでいく姿勢が大切です。
3. 新生活を機に家計と貯蓄を見直そう
まとまった資産を築くためには、日々の地道な積み重ねが欠かせません。
物価の上昇が続いたり、技術の進歩によって働き方が変わったりする中で、ご自身の家計やキャリアに不安を感じる方もいるかもしれません。
そのような時代だからこそ、まずは現状を知るために情報を集め、自分にできることからコツコツと取り組んでいくことが大切になります。
もうすぐはじまる4月からの新生活を機に、家計や貯蓄の方法について一度見直してみてはいかがでしょうか。
※当記事は再編集記事です。
