異性にモテるために自分を変えたり何かアクションを起こしたりすることは、決して悪いことではありません。しかし、着物のポスターで物議を醸したような「〇〇は異性にモテたいからするものだ」という行動心理のレッテルを貼ることは、広告として共感を呼ぶものとは言えないのではないでしょうか。

今回のコピーは、「女性は外国人にモテるために着物を着る」というメッセージを発信したと捉えられています。そしてそのメッセージは、そんな目的を持たずに着物を着る女性に対する偏見を助長するかもしれません。「着物=外国人と出会いたい女性」「着物=ナンパ待ちしている女性」というイメージを与えれば、これまで着物に馴染みのなかった女性層を取り込めると勘違いしていることが、「女性をバカにしているのか」という批判につながっているわけです。

また、こうしたメッセージは外国人や外国人と結婚した人、ハーフの人など様々な層や着物文化自体を貶めていることになっていないでしょうか。実際、「いちハーフとして」このコピーへの不快感をネットで表明している人もいました。

3年前には特に問題にもならなかったこのコピーが、今になって矢面に立たされる現象に異を唱える声もあります。しかし筆者は、3年前にこのコピーを見て「外国人のナンパ待ちしてると思われるなら着物を着たくない」と感じた女性もいたのではないかと思わざるを得ませんでした。

たびたび批判の的になる広告コピー。これからは誰かが傷ついたり侮辱されたと感じないコピーで、人々を感動させてほしいと思います。

秋山 悠紀