昔の子育ての常識や育児論を展開してくる人たちは、何もママたちを困らせようと思っているのではありません。「子ども可愛さ」からついつい自分の経験が力になれば…と思ってやってしまっていること。
わかってはいるのですが、あまりに時代遅れな育児論を押しつけられてしまうと困惑するし、それが続けばげんなりしてしまいます。

さらに、先ほどご紹介した発熱時の対応やはちみつの件は、子どもの命にかかわること。「自分が子育てしているときは何もなかったから…」という安易な考えで取り返しのつかない事態になってしまうこともじゅうぶん考えられるのです。

実の親なら「子育ての方法は昔とはずいぶん変わってきたんだよ」と正論を言うこともできますが、義理の両親や赤の他人にはっきり言うのはなかなか勇気がいるもの。
何かアドバイスされたときは、「参考にさせていただきますね」とだけ伝えてスルーする…。あまりすべてを真正面から受け止めてしまうと、ママの精神衛生上よくありません。
そう、子育てにはスルー力が大切なのです。

今、祖父母世代の人々のために、「祖父母手帳」が発行されているのをご存知ですか?
孫への関わり方を具体的に掲載しているこの手帳、お住まいの自治体に確認をして、発行しているようなら、「これ母親学級で渡されたんです。よかったら読んでみてください」と渡してみるのもいいかもしれませんね。

しかし、この「祖父母手帳」、まだまだ広く普及しているとは言い難いのが現状です。どうせなら、母子手帳と一緒に一冊ずつ配布して欲しい、と思うのはワガママなのでしょうか。
特に、初めての子育ては手探りで、ママも「これでいいのかな?」と不安に思いながら毎日頑張っています。
それを横から「これはダメ、ああしなさい」なんて口を挟まれるのはとっても不幸なことですよね。

ただ、子どもを守れるのは親だけであることは事実。間違った常識に惑わされることなく、き然とした態度を取ること。これに尽きるのかもしれません。

■今の常識が変化することも…

世の中に、絶対ということはありません。子どもたちが親になることには、今の常識が非常識に変化している可能性だってじゅうぶんに考えられるのです。
そのときに、「昔はこうした」「私たちはこうやって育ててきた」なんて昔の常識を押しつけるようなことはしないよう、柔軟な考え方を持ち続けていたいものだと痛感する次第です。

大中 千景