新年度が始まり早くも1ヶ月が過ぎ、新しい生活のペースに慣れてきた頃ではないでしょうか。ふと立ち止まる余裕ができたこの時期に、ご自身の「将来の年金」について少しだけ考えてみませんか?
2026年1月、厚生労働省は2026年度(令和8年度)の年金額改定の発表とともに、「ライフコース別の年金目安額」が公表。
ここでは、「厚生年金期間中心の男性」「国民年金(第1号被保険者)期間中心の女性」など、パターン別の年金目安額が紹介されています。
ライフコース別の年金受給目安額は、実際の平均年金月額と比較するとどれくらい差があるのでしょうか。
今回は、厚生年金・国民年金の平均受給額と、厚生労働省発表の「ライフコース別の年金目安額」を比較しながら紹介していきます。
年金額を決める要素も解説するので、ぜひ本記事を参考に老後を見据えた資金準備を始めましょう。
1. 老齢年金の平均受給額はいくら?
まず、厚生労働省年金局の「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、2024年末時点の厚生年金・国民年金の平均受給額をご紹介します。
厚生年金・国民年金の受給者が平均でどれくらいの年金を受給しているのかをチェックしましょう。
1.1 厚生年金の平均月額
2024年度末時点の厚生年金保険(第1号)の平均受給額は以下の通りです。
- 全体:15万289円
- 男性:16万9967円
- 女性:11万1413円
厚生年金の受給権者は、平均で月額15万円ほどの年金を受け取っています。
ただし、厚生年金は「加入期間」と「報酬」によって受給額が変化するため、必ずしも15万円ほどの年金を受給できるとは限りません。
1.2 国民年金の平均月額
2024年度末時点の国民年金の平均受給額は以下の通りです。
- 全体:5万9310円
- 男性:6万1595円
- 女性:5万7582円
国民年金のみの受給権者は、平均で月額6万円ほどの年金を受け取っています。
上乗せ分の厚生年金がないため、受給額はあまり多くありません。
厚生年金の受給者と比べて、自分で老後資金を準備する重要性が高いと言えるでしょう。
2. 厚生年金・国民年金《ライフコース別》65歳からの受給目安額を5パターン紹介!
次に、厚生労働省から発表された「ライフコース別の年金目安額」をご紹介します。
5つのパターンに分けられているので、ご自身の状況に近いものを参考にして年金目安額を把握しておきましょう。
2.1 ①厚生年金期間中心の男性
月額:17万6793円
- 平均厚生年金期間:39.8年
- 平均収入:50.9万円(賞与含む月額換算)
- 基礎年金:6万9951円
- 厚生年金:10万6842円
先ほど紹介した厚生年金の平均額は月15万円ほどだったため、厚生年金期間中心の男性の受給目安額は平均と比較してやや高めであることが分かります。
平均収入は月収50.9万円、年収換算で約610万円を想定しています。
40年近く厚生年金に加入し、期間中の平均年収が610万円ほどであれば、月額17万円以上の年金を受け取れる計算です。
2.2 ②国民年金(第1号被保険者)期間中心の男性
月額:6万3513円
- 平均厚生年金期間:7.6年
- 平均収入:36.4万円(賞与含む月額換算)
- 基礎年金:4万8896円
- 厚生年金:1万4617円
先ほど紹介した国民年金の平均額は月6万円ほどだったため、国民年金(第1号被保険者)期間中心の男性の受給目安額と大きな差はないと言えます。
厚生年金への加入期間が短いと十分な年金を得ることは難しく、貯蓄等で生活費をカバーする必要がありそうです。
2.3 ③厚生年金期間中心の女性
月額:13万4640円
- 平均厚生年金期間:33.4年
- 平均収入:35.6万円(賞与含む月額換算)
- 基礎年金:7万1881円
- 厚生年金:6万2759円
厚生年金の平均額(月15万円ほど)と比べると、厚生年金期間中心の女性の受給目安額は少なくなっています。
結婚・出産などを機に退職したり、収入が減ったりする女性がいることから、女性の受給額は男性よりも少ない傾向にあります。
2.4 ④国民年金(第1号被保険者)期間中心の女性
月額:6万1771円
- 平均厚生年金期間:6.5年
- 平均収入:25.1万円(賞与含む月額換算)
- 基礎年金:5万3119円
- 厚生年金:8652円
国民年金(第1号被保険者)期間が中心の女性は、男性と比べてそこまで大きな差はありません。
先ほど紹介した国民年金の平均額ともほとんど違いはなく、自分自身で老後資金を準備する重要性が高いと言えます。
2.5 ⑤国民年金(第3号被保険者)期間中心の女性
月額:7万8249円
- 平均厚生年金期間:6.7年
- 平均収入:26.3万円(賞与含む月額換算)
- 基礎年金:6万9016円
- 厚生年金:9234円
国民年金の第3号被保険者は、会社員や公務員などの第2号被保険者に扶養されている配偶者のことを指します。
夫の扶養に入っている期間が長い女性の受給目安額は、国民年金の平均月額と比べても多いことが分かります。
3. 年金額を決める「3つの要素」もおさらい
ライフコース別の年金受給目安額をご紹介しましたが、そもそも年金の受給額はどのように決まるのでしょうか。
受給額を決める要素が分かっていれば、老後に向けて年金額を増やす工夫もできます。
ここでは、年金受給額を決める3つの要素をご紹介します。
3.1 厚生年金の加入期間
日本の公的年金制度は、国内に住む20歳から60歳までのすべての人が加入する「国民年金」をベースに、会社員・公務員等が加入する「厚生年金」が上乗せされる仕組みです。
上乗せ部分の厚生年金の受給額が増えることで、老後の年金額を増やすことができます。
厚生年金受給額を決める要素のひとつが「厚生年金の加入期間」です。
つまり、会社員や公務員として働いて厚生年金保険料を納めた期間が長いほど、受給額が増えていきます。
定年後に再雇用・再就職をするなど、厚生年金への加入期間を延ばすことで老後の年金額を増やすことができるのです。
3.2 厚生年金加入期間中の報酬
厚生年金受給額を決めるもうひとつの要素が「加入期間中の報酬」です。
厚生年金の保険料は、給与や賞与などの報酬に比例して決まります。
そして保険料を多く払えば、その分老後に受け取れる年金額が増えるという仕組みです。
例えば、社内で昇進して給料が上がったり、より高い収入を得られる企業に転職したりすると、老後の年金額アップにつながります。
給料を増やすことは簡単ではありませんが、豊かな老後生活を送るために給料アップを目指してみても良いでしょう。
3.3 国民年金の保険料納付状況
老齢年金の基礎部分である「国民年金」は、保険料納付状況に応じて受給額が決まります。
20歳から60歳までの40年間のうち、どれだけ保険料を納付したかで受給額が計算される仕組みです。
2026年度の国民年金(月額)の満額は7万608円です。
20歳から60歳までの間に国民年金保険料が未納の期間があったり、免除・納付猶予を受けている期間があったりすると、受給額は減少します。
会社員・公務員の場合、国民年金保険料は厚生年金保険料とともに会社が手続きをしているため、未納の期間が生じる可能性は高くありません。
しかし、自営業の場合は自分自身で国民年金保険料を納める必要があるため、忘れないように納付することが大切です。
4. 年金目安額をもとに老後に向けた資金計画を立てましょう
ライフコース別の年金目安額を、厚生年金・国民年金の平均受給額と比較したところ、男性は平均より多くもらっている一方で、女性の受給額はやや平均より少ないことが分かりました。
これまでは女性は結婚・出産を機に退職する方が多く、厚生年金の受給額が少なくなっていたことが要因として考えられます。
最近では共働きで女性が長く働くケースも増えており、年金受給額の男女差は縮まっていく可能性が高いでしょう。
老後の年金受給額は、主に「厚生年金の加入期間」「厚生年金加入期間中の報酬」「国民年金の保険料納付状況」の3つの要素で決まります。
本記事でご紹介したライフコース別の年金目安額を参考にしつつ、老後の年金額を増やす取り組みを検討してみてはいかがでしょうか。
参考資料
丸山 大輝