バフェットが目安にする名目GDPと時価総額
投信1で2016年1月7日に公開した「日経平均株価はどこまで下落する可能性があるのか―バフェットに聞いてみたい」では、名目GDPをベースに日経平均株価はどこまで下落する可能性があるのかをシミュレーションしました。
そのシミュレーションでは、名目GDPと東京株式市場に上場している企業の時価総額の合計が同水準になるという前提で、日経平均株価は16,320円という試算でした。
2016年1月21日の日経平均株価の終値が16,017.26円でしたので、おおむねシミュレーションで想定した株価水準に近づいたと言えるでしょう。
過去の株価サイクルを振り返る
さて、今後の相場展開はどのように考えればよいのでしょうか。ここは過去の株価サイクルをもとに分析してみましょう。今回は、1994年から現在まで振り返ってみたいと思います。
過去のサイクルを見ると、時価総額の名目GDPに対しての比率が最も上昇したのは2015年5月末時点で、124%にまで達しています。他に時価総額の対名目GDP比率が高かったのは、リーマンショック前の111%、ITバブル時の89%という順になっています。
名目GDPが1990年代半ば以降減少していることもありますが、2015年の株高時の時価総額の対名目GDP比率が最も高かったことには留意すべきでしょう。
では、ITバブルやリーマンショックで時価総額が対名目GDP比率で高い水準をつけた後はどうなったのでしょうか。
過去の例では、ITバブル、リーマンショック後の最低水準は、それぞれ時間をかけて47%、55%にまでに落ち込んでいます。つまり株価が名目GDPに対して半分の水準にまで落ち込んでいるということです。
経済環境が異なるため、過去の株価サイクルを毎回同様に当てはめようとするのは無理があると思います。
しかし、世界景気が大きく崩れることがあれば、過去のパターンに陥ること、つまりは、株価水準が名目GDPの半分近くに下落することも、リスクシナリオの1つとして頭の片隅に入れておくべきでしょう。
荒れ相場では何をするべきか
2015年末の米国FRBの利上げ実施に加え、2016年に入ってからは中国の景気スローダウン懸念、原油価格の大幅下落に見舞われ、同時に世界経済で最も堅調であると思われていた米国の株式市場も大幅に下落しました。
円高も進み、日経平均株価も調整し、個人投資家の皆さんにとってはあまり良いニュースはありませんが、引き続き景気の動向からは目を離せません。
個人投資家としては、「黒田バズーカ」ならぬ量的緩和をきっかけとした円安、それにともなう株高を期待したいところですが、株式市場では同じ手を何度も繰り返すとサプライズのマグニチュードが低減してくるのは投資家の皆さんもお感じなることではないでしょうか。
このようなときは、株式相場の方向性に賭けるよりも、長期で成長する勝算の高い銘柄をじっくり探すことに時間をかけたいものです。
【2016年1月22日 投信1編集部】
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LIMO編集部