3. 年金月15万円の場合、給与はいくらで支給停止になる?
「年金月額15万円」と聞くと、その15万円すべてを基準額65万円と比較したくなりますが、在職老齢年金ではそうではありません。
調整対象は老齢厚生年金のみなので、まずは15万円の内訳を確認する必要があります。
老齢基礎年金が2026年度の満額である月7万608円なら、残る約7万4392円が老齢厚生年金部分のおおまかな目安になります。
この前提で考えると、支給停止の判定に使うのは「老齢厚生年金部分約7万4392円+給与・賞与の月額換算額」です。
したがって、給与と賞与の月額換算額の合計が約57万5608円以下であれば、在職老齢年金による支給停止は生じません。
逆に、これを超えると、超えた分の半額が老齢厚生年金から減額されます。
ただし、ここで使った約7万4392円は、あくまで「年金月額15万円のうち、老齢基礎年金が満額7万608円で、残りを厚生年金部分とみなした場合」の単純計算です。
実際には、加給年金額や経過的加算などが含まれていると金額は変わるため、正確には「ねんきん定期便」や年金決定通知書などで、老齢厚生年金の月額を確認する必要があります。
3.1 【具体例】年金月15万円のケースで支給停止ラインを試算
仮に、年金月額15万円の内訳が「老齢基礎年金7万608円+老齢厚生年金7万4392円」だとします。
給与と賞与の月額換算額の合計が55万円の場合
老齢厚生年金部分との合計は約62万4392円となり、基準額65万円以下なので老齢厚生年金は全額支給されます。
給与と賞与の月額換算額の合計が60万円の場合
老齢厚生年金部分との合計は約67万4392円です。
65万円を約2万4392円上回るため、その半額にあたる約1万2196円が老齢厚生年金から支給停止されます。
つまり、老齢厚生年金約7万4392円のうち約1万2196円が減額され、約6万2196円が支給されるイメージです。
老齢基礎年金7万608円は支給停止の対象外なので、そのまま受け取れます。
給与と賞与の月額換算額の合計が65万円の場合
老齢厚生年金部分との合計は約72万4392円となります。
基準額を約7万4392円超えるため、その半額である約3万7196円が支給停止です。
この場合も、減額されるのは老齢厚生年金部分のみであり、老齢基礎年金は全額支給されます。
4. まとめ
在職老齢年金を踏まえて働き方を考えるなら、まず確認したいのは、自分の老齢厚生年金の月額がいくらかという点です。
記事中のように「年金月15万円」と一括りにしても、その中に老齢基礎年金がいくら含まれ、老齢厚生年金がいくらあるのかによって、支給停止ラインは変わってきます。
そのうえで、月給だけでなく賞与も含めた総報酬月額相当額を把握し、老齢厚生年金との合計が65万円を超えるかどうかを見ていくことになります。
年金をできるだけ減らさずに働きたい人は、このラインを意識した収入設計が一つの考え方になります。
一方で、多少年金が減っても、総収入を増やしたい人にとっては、過度に支給停止を恐れる必要はない場面もあるでしょう。
在職老齢年金は、「働くと年金がすぐ止まる制度」ではありません。
2026年度以降は基準額が引き上げられたことで、以前より働きながら年金を受け取りやすくなります。
まずは自身の年金の内訳と収入見込みを確認し、無理のない働き方を考えていきましょう。
参考資料
加藤 聖人