春の訪れを感じる2026年3月、新年度を前に家計を見直す方も多いのではないでしょうか。

日々の生活費や光熱費の値上がりが続くなか、年金だけで生活していくことに不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

実は、公的年金に加えて受け取れる可能性がある「年金生活者支援給付金」という制度があります。

この制度は、年金収入や所得額が一定の基準を下回る方の生活を支援するためのものです。

この記事では、どのような方が対象になるのか、いくら受け取れるのか、そして手続きはどうすればよいのか、制度の基本から詳しく解説していきます。

ご自身が対象になるか確認し、将来の生活設計に役立ててみてはいかがでしょうか。

年金生活者支援給付金の基本概要

年金生活者支援給付金は、公的年金を受給している方の生活をサポートするために、2019年10月1日から始まった制度です。

支給の条件を満たす方には、年金の支給に合わせて2ヶ月に一度、この給付金が指定の口座に支給されます。

この給付金には3つのタイプがあり、受け取っている基礎年金の種類によって「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」に分類されます。

それぞれの給付金で定められた所得などの要件を満たす基礎年金の受給者が、支給の対象となります。

年金生活者支援給付金の対象となるのはどんな人?

年金生活者支援給付金は3種類に分かれており、それぞれに所得などの支給要件が定められています。

ここでは「老齢年金生活者支援給付金」と、「障害年金生活者支援給付金・遺族年金生活者支援給付金」に分けて、詳しい条件を確認していきましょう。

老齢年金生活者支援給付金の支給条件

「老齢年金生活者支援給付金」支給要件2/6

「老齢年金生活者支援給付金」支給要件

出典:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

  • 65歳以上で老齢基礎年金を受給している方
  • 同じ世帯に住む全員の市町村民税が非課税であること
  • 前年の公的年金などの収入金額(※1)と、それ以外の所得の合計額が、基準額以下であること。基準額は、昭和31年4月2日以降に生まれた方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は80万6700円以下です(※2)

※1 障害年金や遺族年金といった非課税収入は、この計算に含みません。
※2 昭和31年4月2日以降に生まれた方で合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の場合、また昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下の場合には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給の対象となります。

障害・遺族年金生活者支援給付金の対象者について

  • 障害基礎年金または遺族基礎年金のいずれかを受給していること
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて金額は増えます)

※ 障害年金、遺族年金などの非課税収入は所得に含みません。

なお、いずれの給付金も、定められたすべての要件を満たす必要があります。

年金生活者支援給付金はいくらもらえる?給付額を解説

年金生活者支援給付金は、「老齢」「障害」「遺族」の3種類があり、それぞれ公的年金に上乗せされる形で支給されます。

ここでは、具体的にいくら受け取れるのか、その金額について見ていきましょう。

年金生活者支援給付金の支給金額3/6

年金生活者支援給付金の支給金額

出典:日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」

2025年度の支給金額

2025年度における年金生活者支援給付金の額は、物価の変動などを反映し、2024年度から2.7%の引き上げとなりました。

  • 老齢年金生活者支援給付基準額(月額):5450円
  • 障害年金生活者支援給付金(月額):1級6813円・2級5450円
  • 遺族年金生活者支援給付金(月額):5450円

(参考)2024年度の支給金額

  • 老齢年金生活者支援給付基準額(月額):5310円
  • 障害年金生活者支援給付金(月額):1級6638円・2級5310円
  • 遺族年金生活者支援給付金(月額):5310円

ただし、老齢年金生活者支援給付金は、全員が一律で月額5450円を受け取れるわけではありません。この基準額を基に、保険料を納めた期間などに応じて個別の給付額が計算されます。

上記の金額はすべて月額表示ですが、実際の支給は2ヶ月分がまとめて公的年金の受取口座へ行われます。もし基準額通りに受給できる場合、1回の支給で約1万円、年間では約6万円を受け取れる計算になります。

なお、厚生労働省が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2025年3月時点での平均給付月額()は、老齢年金生活者支援給付金で4146円、障害年金生活者支援給付金で5727円、遺族年金生活者支援給付金で5228円という実績でした。

※2025年3月時点で認定されている方の平均給付月額です。

年金生活者支援給付金の請求手続きと流れ

この章では、年金生活者支援給付金を受け取るための請求手続きについて解説します。

すでに公的年金を受け取っている方で、新たにこの給付金の対象となった場合には、日本年金機構から請求書を兼ねたお知らせが郵送されます。

すでに基礎年金を受給している場合の手続き

  • 毎年9月の第1営業日以降、順次「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されます。
  • 2025年1月以降に65歳になり、日本年金機構からこのはがき型請求書が届いた方は、電子申請も可能です。
  • 電子申請を利用しない場合は、はがきに必要事項を記入し、切手を貼って投函します。

なお、支給要件に該当するかどうか機構側で確認できない方には、「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」と「所得状況届」が送られてきます。

次に、これから年金そのものを請求する方の手続きの流れを見てみましょう。

これから老齢基礎年金を請求する場合の手続き

老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ5/6

老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ

出典:日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」

  • 65歳になる3ヶ月前に送られてくる「年金請求書(事前送付用)」に、給付金の請求書が同封されています。
  • 必要事項を記入の上、年金の受給を開始する年齢の誕生日前日以降に、年金の請求書とあわせて年金事務所へ提出します。

※障害または遺族年金生活者支援給付金の対象者で、これから初めて基礎年金を請求する方は、給付金の請求書が自動では送られてきません。ご自身で年金の請求手続きと同時に、年金事務所や市区町村の窓口で給付金の請求手続きを行う必要があります。

給付金の支給日について

年金生活者支援給付金は、公的年金と同じく偶数月の15日に支給されます。もし15日が土日や祝日にあたる場合は、その直前の金融機関営業日に前倒しで支給されます。

例えば、2月に支給されるのは、前年の12月分と1月分の合計2ヶ月分です。

年金と同じ口座に支給されますが、通帳には年金と給付金がそれぞれ別の項目として記録されます。

高齢者世帯の生活実態:半数以上が「苦しい」と回答

高齢者世帯の経済的な状況は、決して楽観できるものではないようです。

厚生労働省が公表した『2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況』によると、多くの方が生活に苦しさを感じている実態が明らかになりました。

この調査から、高齢者世帯の生活意識に関する結果を以下にまとめました。

高齢者世帯の生活意識

  • 大変苦しい:25.2%
  • やや苦しい:30.6%
  • 普通:40.1%
  • ややゆとりがある:3.6%
  • 大変ゆとりがある:0.6%

「大変苦しい」と「やや苦しい」を合わせると、生活が「苦しい」と感じている世帯は55.8%と半数を超えています。

この結果は、「普通」と回答した割合よりも高く、厳しい生活状況がうかがえます。

まとめ

この記事では、年金生活者支援給付金について、対象となる方の条件や支給額、手続きの方法などを解説しました。

2025年度からは給付額が引き上げられ、対象となる方にとっては少しでも家計の助けになることが期待されます。

ご自身が対象になるかもしれないと感じた方は、日本年金機構から送付される通知を確認したり、お近くの年金事務所に問い合わせてみたりすることをおすすめします。

物価の上昇が続くなか、利用できる制度を正しく理解し、活用していくことが、これからの暮らしを守る上でますます重要になります。

本記事が、あなたの穏やかなシニアライフの一助となれば幸いです。

参考資料