障害年金3級の受給者の中には、一定の制約はあるものの仕事ができる状態にある人もいます。しかし、「仕事をすると、税金や社会保険はどうなるの?」「働いたら年金がもらえなくなるの?」などの疑問や不安を抱えている人もいるでしょう。
本記事では、障害年金3級をもらいながら働くメリットについて解説します。障害年金3級の受給額や社会保険料や税金における優遇措置なども紹介しますので、障害を抱えながら働きたいと考えている人は確認しておきましょう。
1. 【障害年金3級】働くことはできても「配慮や制限が必要な状態」
障害年金は、障害の程度に応じて1級~3級の等級に区分されています。障害等級3級は、「労働に著しい制限がある」または「労働に著しい制限を加えることを必要とする」程度の障害がある場合に認定されます。「働くことはできるが、配慮や制限が必要」という状態と言っていいでしょう。
障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金の2種類がありますが、障害等級3級で年金が支給されるのは障害厚生年金だけです。障害基礎年金は、1級または2級に該当しないと支給されません。障害厚生年金は、原則初診日(病気やけがで初めて医師の診察を受けた日)において厚生年金に加入していた人が対象です。
2. 【障害年金3級】最低保障額あり「約62万円」厚生年金の加入期間や年収に応じて決まる
障害厚生年金3級の年金額は、厚生年金の加入期間や加入中の年収などに応じて異なります。ただし、以下の最低保障額が設けられており、加入期間が短い人や年収の低い人でも一定額以上が支給されます。最低保証額は2025年度の金額で毎年4月に見直しされます。
- 1956年4月2日以後生まれの人:62万3800円
- 1956年4月1日以前生まれの人:62万2000円
3. 【障害年金3級】受給しながら「働くメリット6選」税金・社会保険料の優遇あり!
障害年金3級をもらいながら働く場合、税金や社会保険料などにおいてさまざまなメリットがあります。
3.1 メリット①:障害年金の給付金は非課税となる
メリットの1つは、障害年金の給付金は非課税となり所得税や住民税がかからないことです。給与などほかの収入と比較して、手取りベースでの収入が多くなります。
3.2 メリット②:障害者控除により給与にかかる所得税を抑制できる
障害者控除とは、障害者本人または障害者を扶養する親族などが受けられる所得控除の1つです。障害者控除の適用を受けることで、本人または扶養者の所得税や住民税を軽減できます。障害者控除による控除額は、障害の程度に応じて次の通りです。
- 障害者:27万円(本人または扶養者)
- 特別障害者:40万円(本人または扶養者)
- 同居特別障害者:75万円(同居の扶養者)
障害の程度は障害者手帳などによって判定されますが、障害者手帳などがない場合でも、自治体等の認定により障害者控除を受けられる可能性があります。
ここまで、障害年金3級の概要と、所得税において障害年金3級をもらいながら働くメリットについて解説しました。次章では、社会保険料などそのほかのメリットを紹介します。
3.3 メリット③:社会保険料の免除・減額の可能性がある
障害のため勤務時間や収入が少なく厚生年金や健康保険の加入要件を満たさない場合、国民年金や国民健康保険に加入することになります。前年の所得によっては、これらの保険料を免除または減額してもらえる可能性があります。
ただし、障害年金1・2級の人は国民年金保険料が全額免除される「法定免除」が適用されるのに対し、3級の人は対象外となります。また、厚生年金などに加入している人は、障害年金3級受給中でも一般の人と同様に社会保険料の支払いが必要です。
3.4 メリット④:給与と年金を同時に受給できる
老齢年金の支給停止と混同して、仕事をすると障害年金がもらえなくなると思っている人もいますが、給与の有無にかかわらず障害年金は受給できます。
障害による労働制限のため十分な給与収入を得られない場合、不足分を補うために障害年金は有効です。前述の通り障害年金の給付金は非課税であるため、給与に対する所得税率がアップすることもありません。
3.5 メリット⑤:厚生年金に加入すると老齢年金が増える
障害の状態が継続した場合、65歳までは障害年金を受給することになりますが、65歳以降は老齢厚生年金と障害厚生年金のどちらか一方を選択して受給します。
厚生年金に加入して仕事をすれば、加入期間に応じて老齢厚生年金の受給額が増えるため、保険料負担はありますが老後収入を増やすことができます。
3.6 メリット⑥:各種支援制度を利用できる
障害年金3級を受給すると、年金をもらえるだけでなく社会的なサポートを受けやすくなります。
たとえば、事業主に対して「障害者雇用枠」での雇用や合理的な配慮の提供を義務化し、安心して働ける環境づくりが行なわれています。また、就労希望者に対する職業訓練や就労移行・定着支援などの制度が整備されています。
4. 【障害年金3級】自分に合った「無理のない働き方」を見つけよう
障害年金3級を受給しながら働くことは、収入の確保と生活の安定につながる有効な選択肢です。障害年金は非課税であり、障害者控除など税制上の優遇も受けられるため、手取り収入を確保しやすい点が大きなメリットです。
ただし、働き方によっては社会保険料の負担が生じることもあります。制度の仕組みを正しく理解し、体調や経済状況に応じた無理のない働き方を選ぶことが重要です。
参考資料
- 日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」
- 日本年金機構「障害年金や遺族年金を受けている人にも公的年金等の源泉徴収票は送付されるのでしょうか。」
- 国税庁「No.1160 障害者控除」
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
- 江戸川区「国民健康保険料の減額・減免制度」
- 政府広報オンライン「働きたい障害のあるかたも、障害者を雇用したい事業主のかたも、ご利用ください。障害者雇用の支援メニュー」
西岡 秀泰