総務省「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」が公表されました。それによれば、65歳以上無職夫婦世帯の月の生活費の赤字は平均で4万2434円、65歳以上の単身無職世帯の場合は2万9980円となっています。

老後を65歳~90歳までと仮定すると約25年間。65歳以上無職夫婦世帯であれば約1260万円、65歳以上の単身無職世帯であれば約900万円、生活費の補填だけで貯蓄が必要になります。

「老後に物価高になったら?」「年金は大丈夫?」「病気やケガをしたら?」「介護が必要になったら?」…など、老後にまつわる不安は多くの人が抱えていると思いますが、大切なのは自身のお金の現在地を確認し、将来の必要額も明確にした上で、具体的な対策をしていくことでしょう。

今回は40~50歳代おひとりさまの貯蓄額の平均と中央値を確認した上で、老後が不安でたまらない場合に行いたい対策を解説します。

1. 【40~50歳代おひとりさまの平均貯蓄額】中央値もみる

まずは、金融経済教育推進機構が公表した「2025年家計の金融行動に関する世論調査」から、単身世帯の貯蓄額の実態を見ていきましょう。

平均貯蓄額

1.1 40歳代おひとりさまの貯蓄事情:平均859万円、中央値100万円

  • 金融資産を保有していない:32.1%
  • 100万円未満:15.1%
  • 100~200万円未満:7.1%
  • 200~300万円未満:5.9%
  • 300~400万円未満:4.3%
  • 400~500万円未満:2.2%
  • 500~700万円未満:6.2%
  • 700~1000万円未満:4.6%
  • 1000~1500万円未満:6.2%
  • 1500~2000万円未満:1.2%
  • 2000~3000万円未満:2.8%
  • 3000万円以上:9.9%
  • 無回答:2.5%
  • 平均:859万円
  • 中央値:100万円

40歳代の結果を見ると、平均額は859万円ですが、より実態に近いとされる中央値は100万円となっており、大きな開きが見られます。

金額ごとの割合をみると、金融資産を保有していない方や貯蓄が100万円未満の方も少なくないことがわかります。

1.2 50歳代おひとりさまの貯蓄事情:平均999万円、中央値120万円

  • 金融資産を保有していない:35.2%
  • 100万円未満:10.1%
  • 100~200万円未満:7.4%
  • 200~300万円未満:4.6%
  • 300~400万円未満:2.7%
  • 400~500万円未満:3.3%
  • 500~700万円未満:4.9%
  • 700~1000万円未満:4.6%
  • 1000~1500万円未満:6.0%
  • 1500~2000万円未満:3.3%
  • 2000~3000万円未満:5.5%
  • 3000万円以上:10.4%
  • 無回答:1.9%
  • 平均:999万円
  • 中央値:120万円

50歳代では平均額が約1000万円に近づく一方、中央値は120万円という結果でした。

40~50歳代おひとりさまの貯蓄額の平均は約100万円。金額ごとの割合をみると貯蓄ゼロは約3割であり、その他に「100~200万円未満」「500~700万円未満」「1000~1500万円未満」の金額帯の割合も多くなっています。

参考までに、老後を迎える60~70歳代の貯蓄額も見てみましょう。

1.3 参考:60歳代単身世帯の平均貯蓄額と中央値

  • 平均:1364万円
  • 中央値:300万円

1.4 参考:70歳代単身世帯の平均貯蓄額と中央値

  • 平均:1489万円
  • 中央値:500万円

60~70歳代になると、平均額は1300万円から1400万円台、中央値は300万円から500万円です。

これは退職金の受け取りや資産相続などによって全体の金額が押し上げられていると考えられますが、依然として個人による差は大きいといえるでしょう。

2. 平均的なおひとりさまの老後の生活費は月約3万円の赤字

はじめの総務省「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」をもとに、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の1か月平均の家計収支を確認しましょう。

2.1 平均的なおひとりさまの老後の生活費

  • 実収入: 13万1456円
    • うち社会保障給付は12万212円
  • 非消費支出(税金や社会保険料など): 1万2990円
  • 消費支出: 14万8445円
    • 主な内訳として食料(4万2545円)、光熱・水道(1万5565円)、教養娯楽(1万6132円)、交通・通信(1万3601円)、住居(1万1416円)、およびその他の消費支出(3万1681円、うち交際費が1万6956円)など
  • 家計収支:▲29980円

収入のうち、年金は約12万円。非消費支出が約1万3000円で残りで生活することになりますが、月約3万円の赤字となりました。

上記はあくまで平均であり、特に年金収入は個人差が大きいところ。国民年金であれば5万円台、厚生年金であれば男性は16万円台、女性は11万円台が平均となっていますから、まずは「自分の将来の年金見込み額はいくらか?」を確認することが大切です。

一般的には国民年金か厚生年金かで備えるべき老後資金は大きく変わりますので、公的年金の確認は重要です。ただし厚生年金であっても、受給額は月1万円~30万円以上と個人差が大きいですから、「自身の見込み額」を確認しましょう。

3. 「老後が不安でたまらない…」今からすべきことは?

物価高に少子高齢化、年金への不安などを考えると老後が不安で貯まらないという方もいると思いますが、具体的に行いたい対策を2つご紹介します。

3.1 「老後の必要額」を把握し、逆算して対策する

老後が不安でたまらない理由の一つとして、老後について漠然としており具体的に考えていないという点があります。老後の必要な資金額と、現状の老後資金がわかれば、その差分についてどのような方法で、いつまでに、いくらずつ準備していくかという具体的な計画を立てやすくなりますので、まずは明確にしましょう。

先ほども確認したように、「ねんきんネット」などを活用して自身の年金見込額を確認し、また、理想の老後生活にかかる費用も試算してみましょう。月の生活費で不足額があれば、その金額を試算して現役時代からコツコツ備えていくことが大切です。

また老後資金を増やす方法と、かかる支出を減らす方法の両方を考えましょう。増やす方法は貯蓄(預貯金や私的年金、資産運用など)や仕事による収入等、支出を減らす方法は固定費を抑える暮らし方を考えることになります。いずれにしても現役時代の早めから考えておくといいでしょう。

3.2 貯蓄は仕組みを利用する

お金を増やす方法としては、「毎月一定額を積み立てる」サービスが基本的には金融機関にありますから、こちらの仕組みを利用しましょう。

老後資金準備は10年、20年、30年…と長期戦が基本です。この期間の貯蓄を自身の意志に頼るのはなかなか難しいですし、長い人生、さまざまな変化があります。

毎月一定額を積み立てる仕組みを利用して積み立て、生活や家計に変化があればその金額を定期的に見直すことで、安定的に貯蓄がたまりやすくなります。

「毎月一定額を積み立てる」サービスは預貯金だけでなく、新NISAのつみたて投資枠を利用して資産運用で行うことも可能です。

余剰資金が出れば、まずは資産運用について情報収集してみましょう。リスクもしっかりと把握した上で、積立投資のシミュレーションなども行いその効果も確認してみてください。

投資にはリスクがあり、運用成果は後にならなければわかりませんが、一方で「お金に働いてもらう」という選択肢が増えます。

このようなお金の情報に関しても、まずは漠然と怖いからと遠ざけるのではなく、具体的な情報を知るところからはじめてみましょう。「具体的に知る」ことでその後にとる行動や選択肢が変わるでしょう。

参考資料

宮野 茉莉子