スウェーデンの例でわかるように、仕組みが整備されていても、それが社会に理解され実際に使われるようになるには時間がかかります。内閣府の統計によると、男性が育児休業を取得しなかった理由の1位が「職場が育児休業を取得しづらい雰囲気だった」、2位が「会社で育児休業制度が整備されていなかった」でした。

育児休業を取得して協力したいと考えていても、まだまだ会社側の理解が足りない状況がうかがえます。

『わたし、定時で帰ります』を見て、賤ヶ岳家の育児体制に感心した筆者でしたが、日本の現状ではなかなか実現することは難しいなと思います。だからといって、男性の育児参加がなければ、家庭の運営は難しく、女性の負担ばかりが大きくなるばかり。

男性の育児休業取得は、女性が出産後も働くためには必要不可欠だと考えます。時間の経過とともに制度が浸透すれば、日本でもスウェーデンのように男性の育児休業取得率は増加するかもしれませんが、数10年も待っていられない。

日本が駆け足で女性の社会進出先進国に追いつくためには、男性の育児休業取得義務化など、思い切った施策が必要なのではと考えました。自民党の有志議員による、男性の育児休業取得の義務化を目指す議員連盟も話題になっています。まずは政府目標である男性の育児休業取得率13%を達成する追い風になることを願います。

日本でも、賤ヶ岳家やスウェーデンのように、「育児=母親の役割」という概念にとらわれず、男女ともに活躍できるようになって欲しいですね。

【参考】

  • 『「共同参画」2018年6月号』内閣府男女共同参画局
  • 『スウェーデンにおける仕事と育児の両立支援施策の現状―整備された労働環境と育児休業制度』独立行政法人 労働政策研究・研修機構

平林 亮子