春の訪れを感じる2026年3月、新年度を前にご自身の暮らしやお金について見直す方もいらっしゃるのではないでしょうか。

特に60歳代を迎え、セカンドライフを考え始めると「年金だけで生活していけるのか」「他の人は一体いくらくらい年金をもらっているのだろう」といった疑問が浮かぶかもしれません。

この記事では、日本の公的年金制度の基本的な仕組みから、2026年度の最新の年金額、そして国民年金と厚生年金の平均的な受給額を詳しく解説します。

さらに、高齢者世帯のリアルな収入事情や、年金生活と密接に関わる確定申告のポイントにも触れていきます。ご自身の将来の生活設計を考える上で、ぜひ参考にしてみてください。

日本の公的年金の「2階建て」構造とは

日本の公的年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」から成り立っており、よく「2階建て」構造に例えられます。

1階部分:国民年金(基礎年金)の仕組み

最初に、制度の1階部分である「国民年金」についてご説明します。国民年金は、原則として日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する制度です。

保険料は全国で一律となっており、毎年度見直しが行われます。参考までに、2025年度の月額保険料は1万7510円です。

もし、40年間すべての保険料を納付した場合、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取ることができます(2025年度の月額は6万9308円)。保険料の未納期間がある場合は、その期間に応じて支給額が減額される仕組みになっています。

2階部分:厚生年金の仕組み

次に、2階部分にあたる厚生年金制度について見ていきましょう。この制度の加入対象者は、会社員や公務員のほか、特定適用事業所で働くパートタイマーなど、特定の条件を満たした方々です。

厚生年金は国民年金に上乗せして加入する形になるため、「2階建て」と呼ばれています。

国民年金とは異なり、厚生年金の保険料は個人の給与水準に応じて決まるため、収入が多いほど保険料も高くなります。ただし、保険料には上限が設定されており、一定以上の収入がある方は同額の保険料を納めることになります。

将来受け取る年金額は、厚生年金への加入期間や納めた保険料の総額によって変動するため、受給額に個人差が生じやすいのが特徴です。

2026年度の年金額改定について

公的年金の支給額は、毎年の物価や賃金の変動を考慮して年度ごとに改定されます。

2026年1月23日に、2026年度における年金額が正式に発表されました。

2025年度と比較すると、国民年金(基礎年金)は1.9%の引き上げ、厚生年金(報酬比例部分)は2.0%の引き上げとなります。

国民年金と厚生年金の受給額モデルケース(2026年度)

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額):1人分):7万608円(+1300円)
  • 厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額):23万7279円(+4495円)

※昭和31年4月1日以前に生まれた方の老齢基礎年金の満額は月額7万408円(対前年度比+1300円)です。
※厚生年金の金額は、平均的な収入(賞与を含む平均標準報酬月額45万5000円)を得ていた夫が40年間就業し、その配偶者が国民年金に40年間加入した場合の給付水準(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))です。

厚生年金・国民年金の平均受給額と分布

多くの方が気になる「厚生年金」と「国民年金」の平均的な月額はどのくらいなのでしょうか。

厚生労働省の資料を基に、60歳から90歳以上までの全受給権者を対象とした「平均年金月額」と「受給額の分布」を見ていきましょう。

 

厚生年金の平均受給月額(男女別)

  • 〈全体〉平均年金月額:15万289円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

※上記の金額には国民年金分も含まれています。

厚生年金の受給額分布(1万円ごと)

  • ~1万円:4万3399人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4137人
  • 2万円以上~3万円未満:3万5397人
  • 3万円以上~4万円未満:6万8210人
  • 4万円以上~5万円未満:7万6692人
  • 5万円以上~6万円未満:10万8447人
  • 6万円以上~7万円未満:31万5106人
  • 7万円以上~8万円未満:57万8950人
  • 8万円以上~9万円未満:80万2179人
  • 9万円以上~10万円未満:101万1457人
  • 10万円以上~11万円未満:111万2828人
  • 11万円以上~12万円未満:107万1485人
  • 12万円以上~13万円未満:97万9155人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3506人
  • 14万円以上~15万円未満:92万9264人
  • 15万円以上~16万円未満:96万5035人
  • 16万円以上~17万円未満:100万1322人
  • 17万円以上~18万円未満:103万1951人
  • 18万円以上~19万円未満:102万6888人
  • 19万円以上~20万円未満:96万2615人
  • 20万円以上~21万円未満:85万3591人
  • 21万円以上~22万円未満:70万4633人
  • 22万円以上~23万円未満:52万3958人
  • 23万円以上~24万円未満:35万4人
  • 24万円以上~25万円未満:23万211人
  • 25万円以上~26万円未満:15万796人
  • 26万円以上~27万円未満:9万4667人
  • 27万円以上~28万円未満:5万5083人
  • 28万円以上~29万円未満:3万289人
  • 29万円以上~30万円未満:1万5158人
  • 30万円以上~:1万9283人

厚生年金の平均月額は全体で15万289円ですが、男女別に見ると男性が16万9967円、女性が11万1413円と、約6万円の差があることがわかります。

 

 

国民年金の平均受給月額(男女別)

  • 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

国民年金の受給額分布(1万円ごと)

  • 1万円未満:5万1828人
  • 1万円以上~2万円未満:21万3583人
  • 2万円以上~3万円未満:68万4559人
  • 3万円以上~4万円未満:206万1539人
  • 4万円以上~5万円未満:388万83人
  • 5万円以上~6万円未満:641万228人
  • 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
  • 7万円以上~:299万7738人

国民年金の平均受給月額は5万9310円です。男女別では、男性が6万1595円、女性が5万7582円という結果でした。

受給額の分布を見ると、「6万円以上~7万円未満」の層が最も多く、多くの受給者が満額に近い年金額を受け取っていることが推測されます。

高齢者世帯における平均所得と収入の内訳

次に、高齢者世帯の「1世帯あたりの平均所得金額」を確認してみましょう。ここでは、厚生労働省の「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」を参考にします。

この資料では、高齢者世帯を「65歳以上の人のみで構成されるか、または65歳以上の人と18歳未満の人で構成される世帯」と定義しています。

高齢者世帯の平均所得はいくら?

厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯の平均総所得は年間で314万8000円です。総所得に占める各所得の金額と割合も見ていきましょう。

高齢者世帯の所得構成

  • 稼働所得:79万7000円(25.3%)
    • うち雇用者所得(※):66万5000円(21.1%)
  • 公的年金・恩給:200万円(63.5%)
  • 財産所得:14万4000円 (4.6%)
  • 公的年金・恩給以外の社会保障給付金:1万8000円 (0.6%)
  • 仕送り・企業年金・個人年金等・その他の所得18万9000円(6.0%)

月額に換算すると約26万円の所得のうち、3分の2にあたる約16万6000円が「公的年金」で占められています。その次に大きいのが約5万5000円の「雇用者所得」です。

このデータから、高齢者世帯の家計は公的年金を主な基盤としつつ、仕事による収入で補っている実態がうかがえます。

雇用者所得とは、世帯員が勤務先から受け取った給料・賃金・賞与の合計額を指し、税金や社会保険料が含まれます。

年金受給者の確定申告は必要?不要?

年金を受け取っている方のうち、特定の条件を満たす場合は「確定申告不要制度」の対象となり、毎年確定申告を行う必要がなくなります。

確定申告が不要になる2つの条件

確定申告が不要となるのは、以下の条件を両方満たす場合です。

  • 公的年金等(※1)の収入金額の合計が400万円以下で、かつ、その公的年金等のすべてが源泉徴収の対象であること
  • 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(※2)が20万円以下であること

※1 国民年金、厚生年金、共済組合から支給される老齢年金や恩給、過去の勤務先から支給される年金、確定給付企業年金などが該当します。
※2 生命保険契約などに基づく個人年金、給与所得、生命保険の満期返戻金などが該当します。 

ただし、確定申告不要制度の対象者であっても、確定申告を行うことで所得税が還付される場合があります(※3)

また、所得税の確定申告が不要な場合でも、源泉徴収票に記載されていない生命保険料控除や地震保険料控除などを適用したい場合や、公的年金以外の所得があり住民税の申告が必要な場合があります(※4)

※3 例えば、医療費控除や雑損控除などを適用して、公的年金から源泉徴収された所得税の還付を受けたい場合です。
※4 所得税の確定申告を行えば、その内容が市区町村に連携されるため、別途住民税の申告をする必要はありません。

スマホとマイナンバーカードで確定申告がより手軽に

スマートフォンとマイナンバーカードの機能連携が進んだことにより、令和7年(2025年)分の確定申告は一層便利になります。

マイナンバーカードをスマートフォンで直接読み取らなくても、スマホに搭載されたマイナンバーカード機能を利用して、申告書の作成からe-Taxでの送信まで完結できます。

国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の案内に従って入力するだけで申告書が完成し、自動計算機能で計算間違いも防げます。

さらに、マイナポータル連携機能を使えば、保険料控除証明書や源泉徴収票といった必要書類の情報を自動で取得し、申告書に反映させることが可能です。これにより、書類の収集や手入力の手間が省け、確定申告にかかる時間を大幅に短縮できるでしょう。

まとめ

今回は、公的年金の基本的な仕組みから、2026年度の最新情報、そして平均的な受給額まで幅広く解説しました。

厚生年金と国民年金の平均額や分布を見ると、ご自身の状況と比較して、将来の生活をイメージするきっかけになったのではないでしょうか。

また、高齢者世帯の収入の多くが公的年金で占められていることからも、年金がセカンドライフの経済的な基盤としていかに重要であるかがわかります。

年金生活が始まると確定申告も身近な手続きになりますが、スマートフォンを活用することで以前よりも手軽に行えるようになっています。ご自身の年金見込額を確認したり、家計を見直したりと、来る新年度に向けて少しずつ準備を進めてみてはいかがでしょうか。

参考資料