2. リクルートの事業構造を分解!本当の「稼ぎ頭」はどこか?
全体として好調な決算であることが分かりましたが、リクルートのように多角的にビジネスを展開する巨大企業の場合、全体の数字を見るだけでは不十分です。「どの事業が業績を牽引しているのか」を分解して考える必要があります。
リクルートの事業は、大きく以下の3つのセグメント(事業部門)に分かれています。
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HRテクノロジー: 「Indeed」などを中心としたオンライン求人情報プラットフォーム事業
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人材派遣: 「リクルートスタッフィング」などの人材派遣事業
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マーケティングマッチングテクノロジー(MMT): 「SUUMO(住宅)」「ゼクシィ(結婚)」「ホットペッパー(飲食・美容)」など、日常のライフイベントや消費をサポートするメディア事業
私たちが日常生活で最も目にするのはMMT事業のサービスかもしれません。しかし、実際の業績の内訳を見ると、意外な事実が浮かび上がってきます。
まず売上規模で比較すると、人材派遣が約1.2兆円でトップです。次いでHRテクノロジーが約1兆円、MMTが約4,241億円と続きます。これだけを見ると、リクルートは「人材派遣の会社」だと思われがちです。
ところが、利益の額(※EBITDA+S:営業利益に減価償却費等を加えた利益指標)を見ると状況は一変します。
売上が最も大きかった人材派遣の利益は約851億円にとどまる一方で、売上が2番手だったHRテクノロジーの利益は約3949億円と、他を圧倒する稼ぎを叩き出しているのです。(※MMTの利益は約1392億円)
つまり、リクルートの利益の源泉は、間違いなく「HRテクノロジー事業」にあるということです。この事実を踏まえ、泉田氏は企業分析の急所を次のように断言します。
「一番しっかり分析しなきゃいけないのはこのHRテクノロジーになるっていうのは間違いない。」
プロの投資家は、企業が展開するすべての事業を均等に見るわけではありません。利益の大半を生み出している「稼ぎ頭」の事業が成長しているのか、それとも衰退しているのかに焦点を絞って分析を進めるのです。
【動画で解説】リクルート決算を元機関投資家が分析!なぜ本当の稼ぎ頭は北米なのか?
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日