3. 公的医療保険制度のあり方「年齢」から「財力」に応じた負担へ
今回は、政府が進める社会保障制度の大きな転換点について、最新の調査結果をもとに解説しました。
「年金は少ないけれど株の配当がある」という方にとって、今回の法改正は窓口負担が1割から3割へ跳ね上がる可能性を秘めた、非常にインパクトの大きなものです。金融機関から自治体へ配当データが直接送られるようになると、ケースBのような「隠れた所得」が正確に把握されます。
この新しい仕組みが実現すれば、金融機関に対して、配当などの支払い情報を記載した「支払報告書(法定調書)」をオンラインで提出することが義務付けられます。これにより、本人が確定申告を行わなくても、自治体側で個人の金融所得を正確に把握できる「自動的な照会ルート」が確立されます。
このデータ連携が、資産背景に見合った公平な保険料算定や窓口負担判定を実現するための鍵となります。ただし、金融機関のシステム改修や国民への周知といったプロセスが必要なため、この新制度が完全に社会に浸透し、実効性を持つまでには、まだしばらくの猶予期間(施行まで数年程度)を要する見通しです。
参考資料
- 財務省「社会保障①」
- 厚生労働省「第206回社会保障審議会医療保険部会・世代内、世代間の公平の更なる確保による全世代型社会保障の構築の推進(高齢者医療における負担の在り方について)」
- 厚生労働省「令和7年度 全国厚生労働関係部局長会議資料(13)保険局」
- 厚生労働省「社会保障審議会医療保険部会における議論の整理について」
- 内閣府「「強い経済」を実現する総合経済対策」について」
村岸 理美
