この記事の読みどころ

1月は年初から株価が世界的に急落しました。日銀のマイナス金利導入でひとまず下げは収まりましたが、リバウンドは長く続きませんでした。

株価の下げは海外投資家によって主導されました。これに対して逆張りスタンスを続ける信託銀行と個人が買い向かった1か月でした。この構図は2015年夏の上海ショック時と変わりません。

2月に入り決算発表が本格化していますが、冴えない決算内容の銘柄には容赦ない売りが出ています。海外投資家の売りが収まるのか、アベノミクスの成果をどう継続させるのか、相場の足腰が問われています。

海外投資家が大きく売り越した

日本取引所グループの月次データによると、2016年1月の海外投資家による日本株現物の売買は差引約1兆円の売り越しでした。1月第1週に約4,500億円売り越し、その後いずれの週も売り越しています。

海外投資家が大幅に売り越したのは2015年8‐9月以来です。原油安を始めとする資源安と中国経済への懸念の高まりから世界的に株価は大きな調整を演じましたが、海外投資家のリスクオフの動きに日本の市場も無縁ではありませんでした。

信託銀行と個人は逆張りで買いに出た

買い手として目立ったのは信託銀行と個人でした。それぞれ月間で約6千億円、約8千億円の買い越しでした。

週を追って見ていくと、海外投資家の売りに初めに買い向かったのは個人でした。その後信託銀行も買い越し額を増やしました。しかし興味深いことに個人は1月の最終週には早くも売り越しに転じています。

アベノミクスの真価が問われる2月の株式相場

1月末から日本でも企業決算の発表が本格化しています。残念ながら業績が伸び悩む傾向が見られ、弱めの決算の企業は容赦なく株が売られている印象です。日銀の政策変更による宴も短かったと言えそうです。

3月本決算の企業はここから新年度の事業計画を立てていきます。当面、内外の経済環境に多くを期待できないと思われますので、自助努力でどう企業価値を高めていくことができるのか、アベノミクスの足腰を試される局面です。

トヨタや新日鉄のような積極的な事業再編など、一ひねり欲しいところです。海外投資家の売りが続くかは、日本企業の知恵にかかっていると思います。

LIMO編集部