2. 年金額は4年連続で増額。それでも「実質目減り」となる理由

次に、年金受給者の方が気になる「支給される年金額」について見ていきましょう。2026年度も、前年度に引き続き増額されることが決まりました。

老齢基礎年金(満額):月額7万608円(前年度比+1300円)

月額で1300円、年間では1万5600円の増額となります。

ただし、ここで注意したいのが「マクロ経済スライド」という仕組みの存在です。

現在の年金制度には、少子高齢化の進行に対応するため、物価の上昇率ほどには年金額を増やさないように自動調整する機能が組み込まれています。

2.1 《マクロ経済スライド》

  • 仮に物価が3%上昇しても、年金額の伸びは2%程度に抑制される。
  • この結果、支給される金額(名目額)は増えても、実際に購入できるモノやサービスの量(実質価値)は減少してしまいます。

したがって、「支給額が増えたから安心」と考えるのではなく、物価の上昇に対して「年金収入だけでは生活水準の維持が難しくなる可能性がある」という現実を理解しておくことが大切です。

3. 働くシニア層に朗報!在職老齢年金の支給停止基準が「月65万円」に緩和

2026年度の制度改正において、現役で働き続けるシニア層にとって特に注目すべきなのが「在職老齢年金」における基準の緩和です。

これまでの制度では、給与と年金の合計額が「月額51万円」を超過すると、年金の一部または全額が支給停止の対象となっていました。この基準が2026年4月から大幅に引き上げられます。

  • 改正前:合計月収51万円超で年金の一部または全額を支給停止
  • 改正後:合計月収65万円超で年金の一部または全額を支給停止

今まで「年金が減額されるから」という理由で働く時間を調整していた方々にとって、上限が月額65万円まで引き上げられることは、収入を増やす絶好の機会となるでしょう。

これにより、ご自身のキャリアを活かして現役時代に近い収入を得つつ、将来のために公的年金以外の資産形成を加速させるという選択肢も現実的になります。