5. 遺産を「遺す」なら要注意?相続で意見が衝突しやすい財産トップ5
先述のJ-FLEC調査では半数以上が「子供に財産を残したい」と考えていることがわかりましたが、実際に遺産を分ける段になると、思わぬトラブルに発展するケースも少なくありません。
弁護士法人 東京新宿法律事務所が公表した「『意見衝突しやすい遺産』に関する調査」(2026年4月実施)によると、遺産分割で親族間の意見が衝突した財産のトップは「不動産」でした。
5.1 遺産分割で意見衝突した財産(複数回答):「弁護士法人 東京新宿法律事務所」調べ
遺産分割で意見衝突した財産6/6
出所:弁護士法人東京新宿法律事務所 相続で意見衝突しやすい“遺産”トップ5 ——1位は不動産!45歳~70歳を対象に弁護士法人 東京新宿法律事務所が「意見衝突しやすい遺産 」に関する調査を実施
- 1位:不動産(自宅・土地・収益物件など)(67.7%)
- 2位:預貯金・現金(59.3%)
- 3位:有価証券(21.3%)
- 4位:生命保険金・退職金(14.3%)
- 5位:事業用資産(3.7%)
衝突の理由としては、「分割しにくい財産だった」(26.0%)や「評価額で意見が分かれた」(14.0%)などが上位に挙がっています。
さらに、トラブル後の結果を見ると、「全員が納得する形で円満に解決した」と答えた人はわずか24.3%にとどまりました。7割以上が何らかのしこりや課題を残す結果となっており、当事者同士の話し合いだけでは解決が難しい実態が浮き彫りになっています。
同調査では、振り返って行うべきだった対応として「生前の遺言書作成(25.7%)」や「早期の専門家相談(23.3%)」、「生前の家族間対話(23.0%)」が挙げられています。資産を「遺す」と決めたのであれば、元気なうちから家族で話し合い、道筋を立てておくことが最大の愛情と言えるかもしれません。
6. まとめにかえて
本記事では、70歳代シニア世帯のリアルな家計収支や貯蓄額、そして遺産に対する価値観について確認してきました。
データが示す通り、年金だけで日々の生活費をすべてまかなうのは難しく、貯蓄を取り崩しながらやりくりしているのが現代のシニアの標準的な姿です。
また、ご自身の資産を「家族に遺す」のか「自分たちで使い切る」のか、その選択肢も多様化しています。
もし「遺す」という選択をするのであれば、今回ご紹介した調査結果のように、残された家族が分割方法で揉めないための生前対策(遺言書の作成や専門家への相談など)が欠かせません。一方で「使い切る」選択をする場合も、人生の最後まで資産が枯渇しないよう、計画的な管理が必要です。
気候もよく、心身ともに活動しやすくなる5月。連休に家族と顔を合わせた方も多いのではないでしょうか。この機会に、ご自身の老後資金の現在地を確認し、これからの資産の活かし方や終活について、少しずつ準備や話し合いを始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
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弁護士法人東京新宿法律事務所 相続で意見衝突しやすい“遺産”トップ5 ——1位は不動産!45歳~70歳を対象に弁護士法人 東京新宿法律事務所が「意見衝突しやすい遺産 」に関する調査を実施
菅原 美優