3. 在職老齢年金制度とは?2026年度から基準額が「月65万円」に引き上げ
物価上昇などを背景に老後資金への不安が高まるなか、年金を受け取りながら働き続ける人が増えています。
そうした働き方を考えるうえで押さえておきたいのが「在職老齢年金制度」です。
2026年度から、この制度の見直しが行われ、特に60歳代で働く人にとっては影響の大きい改正となります。
3.1 在職老齢年金とは?
在職老齢年金とは、60歳以降に老齢厚生年金を受け取りながら、会社員などとして働いている人に適用される仕組みです。
給与や賞与などの「報酬」と年金額の合計が一定の基準額を超えると、その超過分に応じて年金の一部または全部が支給停止となります。
この仕組みは、年金と賃金のバランスを調整するために設けられていますが、近年は「働くと年金が減るため就労を控える人が出る」といった指摘もあり、見直しの議論が続いてきました。
3.2 支給停止の基準額が大幅に引き上げられる
在職老齢年金の「支給停止調整額」(年金が満額支給される収入の目安)は、近年段階的に引き上げられています。
- 2022年度:47万円
- 2023年度:48万円
- 2024年度:50万円
- 2025年度:51万円
- 2026年度:65万円
2026年4月以降は、給与と年金の合計が月65万円までであれば、老齢厚生年金は全額支給されます。
従来は基準額を超えると年金が減額されるケースが多くありましたが、今回の見直しにより、その影響を受ける人は大きく減ると見込まれています。
今回の改正は、「働くと年金が減る」というイメージを和らげる効果が期待されています。これまで収入調整のために労働時間を抑えていた人にとっては、働き方の自由度が広がるといえるでしょう。
特に、再雇用制度で働く60歳代の会社員にとっては、給与と年金を両立しやすくなる点が大きなポイントです。
ただし、どのように働くかは収入面だけで決められるものではありません。健康状態や体力、家族との時間、老後資金の見通しなども踏まえ、自分に合った働き方を考えることが大切です。
制度改正をきっかけに、老後の収入と生活のバランスについて一度整理してみてはいかがでしょうか。
