とはいえ、電車で席を譲っていただいたり、あたたかい言葉をかけていただいたことの方が圧倒的に多いのも事実。また、叱っていただいてありがたいと思ったこともあります。

飲食店で我が子が駆け出してしまった時のこと。筆者はトレイを持っていて手をつなげず、「走らないで!」と声をかけることしかできませんでした。すると、ある女性のお客さんが我が子の顔を見て、穏やかに「こういう場所で走っちゃいけないよ」と言ってくださったのです。我が子は納得した様子で歩いて席に向かい、筆者はその方に「すみません、ありがとうございます」と伝えました。

ここでありがたかったのは、しっかりと我が子に向かって、しかも穏やかに、4歳児にもわかる言葉で叱ってくださったこと。子どもに向き合って𠮟るのは、親でも骨が折れることです。それを見ず知らずの子どもにやっていただいたことが、申し訳なくもありがたく感じました。

こういうシチュエーションで見知らぬ人に指摘されると、親子ともに緊張してしまう場合もあるかもしれませんが、本当に子どもを思って言っていただいている言葉は響くと、筆者は実感しています。

どちらの例も、改めて書き出してみると、我ながら社会に甘えて子育てしているな……とは思うのですが、それでも子どもを温かい目で見守っていただければありがたいと願わずにはいられません。そして、(自戒も込めて)親自身も、公共の場所におけるマナーを、子どもが納得できるかたちで教え伝えていきたいですね。

高橋 美穂