光文社が1995年に創刊した女性誌、『VERY』。「セレブ主婦向けのテーマが多い」「手が届かない憧れの世界」というイメージを持つ方もいるのではないでしょうか。
ところが、そんな「お高いイメージ」のVERYに変化が表れてきました。ライフスタイルが多様化し、雑誌内のテーマにも影響が。その背景には、どのような時代の流れが隠されているのでしょうか。
VERYの特集からうかがえる人生観の変化
東京都白金発の「シロガネーゼ」、兵庫県芦屋発の「アシャレーヌ」といった言葉を生み出すなど、いわゆる「セレブ妻」をテーマに掲げてきた『VERY』。
「“幸せ”は夫婦のオシャレに表れる」
「記念日くらいキレイな妻だと感謝して」
といったような、輝いている女性にスポットを当てた特集が組まれてきました。その一方、2010年頃からはややダークな一面を感じさせるテーマも登場します。
「『産婦人科医の主人は、私の産後うつに気づいてくれませんでした』 聞こえていますか? 産後うつという叫び」(10年8月)
「ママ友ワールドは地獄じゃない」(11年9月)
など、妻たちの悩みに寄り添う内容も。さらに、以下のような子育てに関する辛さや励ましの特集も扱われるようになりました。
「子育てがつらい私はダメ母ですか?」(13年2月)
「『いい母』の定義なんて誰が決めた?」(16年10月)
「ママだからって、夕食をがんばりたくない宣言!」(18年3月)
やがて、18年には「『きちんと家のことをやるなら働いてもいいよ』と将来息子がパートナーに言わないために今からできること」という特集も。このようなテーマの流れから「稼ぎの良い夫に養ってもらう=女性の幸せ」という価値観から、「ライフスタイルを自由に選択して生きる=女性の幸せ」と女性の生き方に対する考え方の変化が見て取れます。それに伴い、「育児は女性の仕事」という認識も薄れていったのでしょう。
40~60代の未婚男女が考える未婚化の理由
ライフスタイルの多様化などの影響で、日本では「未婚化」が進みつつあります。
明治安田生活福祉研究所が40~64歳の男女1万2,000人に対して実施した「人生100年時代の結婚に関する意識と実態」(18年)をみていきましょう。調査の結果、40~60代の未婚男女が考える理由のトップ2は以下の通りでした。
1位 「結婚はあくまでも選択肢のひとつであって、結婚を望まない人が増えてきたから」
2位 「社会全体の雇用・収入が良くない」
前述した「ライフスタイルを自由に選択して生きる」ことが男女にとっての幸せであり、また実現しやすい環境になってきていることが分かります。未だに「まだ結婚しないの?」「子どもは?」と聞かれることはあっても、「結婚も出産も個人の自由」という認識が浸透してきているのでしょう。
あらゆる価値観が混在している現在だからこそ、「結婚はするべき」「未婚なんて」と決めつけず、「人によって幸せのあり方は異なる」と捉えておきたいですね。
何が人生の幸福を決めるのか
同調査では、「自分の幸福度」についても調査しています。