2. 年金の繰上げ受給、経済的に余裕があっても「繰上げ受給は有利」と考える人が増加傾向
年金の繰上げ受給を選ぶ目的が、近年変化しています。従来は、定年後に十分な収入が得られない人が生活費を補うために繰上げ受給を選択する傾向がありました。
しかし、近年は経済的に余裕のある人で、繰り上げ受給は有利、賢い選択だと考える人が増えています。
3. 年金の繰上げ受給、なぜ「60歳受給が最強」と言われるのか
インターネット動画などで、60歳からの繰上げ受給を推奨する主な理由を紹介します。
3.1 理由①:健康なうちにお金を有効に使える
繰上げ受給おすすめ理由の1つは、健康で体力のあるうちに、年金を活用して趣味や旅行などを楽しんだほうがいいというものです。
厚生労働省の「健康寿命の令和4年値について」によると、男性の健康寿命は72.57歳、女性は75.45歳です。年金の受給額が多少減っても、元気なうちに受け取って好きなことに使うことがお金の有効活用につながるという考え方です。
3.2 理由②:税金や社会保険料を抑えられる
繰上げ受給で受給額が少なくなると、税金(所得税と住民税)や社会保険料(健康保険料と介護保険料)を抑えられます。住民税が非課税になると医療費の自己負担が減る、公的サービスで優遇を受けられる、などのメリットもあります。
繰上げ受給による受給額減少の一定割合を、税金などを抑えることでカバーできます。
3.3 理由③:80歳すぎまでの受給額が多い
60歳で繰上げ受給したときの損益分岐点は80歳10ヶ月です。繰上げ受給した方が、80歳10ヶ月までの受給額累計は多くなります。いつ亡くなるかわからないため、早くもらったほうが安心だという考え方の人もいます。
がんに罹った人などが、年金を無駄にしないために繰上げ受給するケースもあります。
3.4 理由④:運用して資金を効率的に活用する
繰上げ受給で受給額が減っても、受け取った年金で資産運用したほうが有利だという考え方もあります。運用益が繰上げ受給による減額分を一定程度相殺すれば、損益分岐点も高くなるでしょう。
また、インフレになれば年金の価値は下がる可能性があります。マクロ経済スライドによって、年金額の増額は物価上昇率に追いつかないためです。資産運用によりインフレリスクを軽減できることもあります。
3.5 理由⑤:制度改悪の影響を抑えられる
年金制度改正によって給付水準が低下したり、受給開始年齢が上がったりする可能性もあるため、条件が悪くならないうちに年金を受給したほうがいい、という理由もあります。
ここまで、繰上げ受給の概要と目的、インターネット動画などで繰上げ受給を推奨する理由について紹介しました。次章では、繰上げ受給するときの注意点などについて解説します。