2. 約1割にとどまる「不自由ない暮らし」年金生活の現実とは
高齢者世帯の生活を支える大黒柱は「公的年金」です。しかし、その年金に対する満足度や将来への安心感については、決して楽観できない現状が見えてきます。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の同調査によると、70歳代・二人以上世帯の年金に対する生活実感は次の通りです。
2.1 年金に対する生活実感(70歳代・二人以上世帯)
- 年金でさほど不自由なく暮らせる:12.3%
- ゆとりはないが、日常生活費程度はまかなえる:61.2%
- 日常生活費程度もまかなうのが難しい:26.5%
「不自由なく暮らせている」と感じている世帯は、わずか1割強にとどまっています。
約4世帯に1世帯は、日常生活を維持すること自体に難しさを感じており、多くのシニアにとって年金のみで“ゆとりある生活”を送るのは簡単ではない実態が浮かび上がります。
2.2 なぜ「ゆとりがない」と感じるのか
「ゆとりがない」と回答した世帯にその理由を尋ねたところ、現在の経済環境を反映した結果が明らかになりました。
年金にゆとりがないと感じる理由(70歳代・二人以上世帯/複数回答)
- 物価上昇等により費用が増えていくとみているから:57.7%
- 年金が支給される年齢が引き上げられるとみているから:6.5%
- 年金が支給される金額が切り下げられるとみているから:17.2%
- 高齢者への医療費用の個人負担が増えるとみているから:30.0%
- 高齢者への介護費用の個人負担が増えるとみているから:18.7%
- その他:16.0%
最も多かったのは、約6割を占めた「物価上昇」への不安です。食料品や光熱費など生活に直結する支出の増加が、限られた年金収入で暮らすシニア世帯の家計を圧迫していることがうかがえます。
さらに、年齢を重ねるにつれて避けにくい医療費や介護費の自己負担増への懸念も大きな割合を占めています。目の前の生活だけでなく、将来の支出増を見据えた不安が、年金に対する厳しい実感につながっていると言えるでしょう。

