年金だけでは生活が不安な方へ。公的年金に上乗せで支給される「年金生活者支援給付金」制度について、対象者の条件、手続き、支給額をわかりやすく解説します。ご自身が対象か確認してみましょう。

2月は2カ月に一度の年金支給月ですね。

昨今、食料品や光熱費など、生活に身近なものの価格が上昇しており、年金だけで生活していくことに不安を感じている方も少なくないのではないでしょうか。

そのような状況のなかで、年金受給者の生活を支えるための一つの制度として「年金生活者支援給付金」があります。

これは、公的年金などの収入が一定基準額以下の方を対象に、年金に上乗せして支給されるものです。

この記事では、年金生活者支援給付金制度の詳しい内容や対象となる方の条件、手続きの方法について、わかりやすく解説していきます。

ご自身の状況と照らし合わせながら、制度への理解を深めてみてはいかがでしょうか。

1. 「年金生活者支援給付金」制度の概要

年金生活者支援給付金制度は、年金を受給している方々の生活を支援する目的で、2019年にスタートしました。

この制度は、受給要件を満たす対象者に対して、2カ月に1度、公的年金の支給日に合わせて給付金を支給する仕組みです。

年金生活者支援給付金は3つの種類に分かれており、受給している基礎年金に応じて「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」が設定されています。

つまり、それぞれの基礎年金を受給している方で、所得に関する要件を満たす場合に、この給付金の対象となります。

2. 年金生活者支援給付金を受け取れる方の支給要件

基礎年金を受給している方のうち、年金を含む収入や所得の合計が一定の基準を下回る場合に、「年金生活者支援給付金」を受け取れる可能性があります。

この章では、3種類ある「年金生活者支援給付金」の具体的な支給要件を、それぞれ詳しく見ていきましょう。

2.1 老齢年金生活者支援給付金の支給要件

老齢年金生活者支援給付金の支給要件2/8

支給要件

出典:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

はじめに、老齢年金生活者支援給付金の対象となるのは、以下の要件をすべて満たす方です。

  • 65歳以上で老齢基礎年金を受給していること
  • 同じ世帯の全員が市町村民税非課税であること
  • 前年の公的年金などの収入金額(※1)と、その他の所得を合計した額が、昭和31年4月2日以降に生まれた方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は80万6700円以下であること(※2)

※1 障害年金や遺族年金といった非課税収入は含まれません。

※2 昭和31年4月2日以降に生まれた方で合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下の方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

2.2 障害年金生活者支援給付金の支給要件

障害基礎年金を受給されている方へ3/8

障害基礎年金を受給されている方へ

出典:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

障害年金生活者支援給付金は、次の支給要件を両方とも満たす場合に支給の対象となります。

  • 障害基礎年金の受給者であること
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(この金額は扶養親族の人数に応じて増額されます)

※ 障害年金などの非課税収入は所得に含まれません。

2.3 遺族年金生活者支援給付金の支給要件

遺族基礎年金を受給されている方へ4/8

遺族基礎年金を受給されている方へ

出典:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

遺族年金生活者支援給付金を受け取るためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 遺族基礎年金の受給者であること
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(扶養親族などの数によって増額される場合があります)

※ 遺族年金などの非課税収入は、ここでの所得には含まれません。

3. 年金生活者支援給付金の給付額はいくら?

年金生活者支援給付金には「老齢」「障害」「遺族」の3種類があり、それぞれ公的年金に上乗せする形で支給されます。

ここでは、具体的にいくら受け取れるのか、その金額について確認していきましょう。

年金生活者支援給付金の支給金額5/8

年金生活者支援給付金の支給金額

出典:日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」

3.1 2025年度における年金生活者支援給付金の支給額

2025年度の年金生活者支援給付金の額は、前年度である2024年度から2.7%引き上げられました。

  • 老齢年金生活者支援給付基準額(月額):5450円
  • 障害年金生活者支援給付金(月額):1級6813円・2級5450円
  • 遺族年金生活者支援給付金(月額):5450円

3.2 (参考)2024年度の年金生活者支援給付金支給額

  • 老齢年金生活者支援給付基準額(月額):5310円
  • 障害年金生活者支援給付金(月額):1級6638円・2級5310円
  • 遺族年金生活者支援給付金(月額):5310円

ただし、老齢年金生活者支援給付金は、必ずしも一律で5450円が支給されるわけではありません。この基準額を基に、保険料を納付した期間などに応じて、一人ひとりの実際の給付額が計算されます。

上記の金額はいずれも月額表示ですが、実際の支給は2カ月分がまとめて公的年金の受取口座へ振り込まれます。もし上記の基準額通りに受給できる場合、1回の支給で約1万円、年間では約6万円を受け取れる計算になります。

厚生労働省の『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、2025年3月時点での平均給付月額(※)は、老齢年金生活者支援給付金で4146円、障害年金生活者支援給付金で5727円、遺族年金生活者支援給付金で5228円という実績でした。

※2025年3月時点で認定されている方の平均給付金額です。

4. 年金生活者支援給付金の請求手続きについて

「年金生活者支援給付金」は、対象になったからといって自動的に受け取れるわけではありません。申請手続きが必要ですので、手続きを忘れないように注意が必要です。

ここでは、多くの方が該当するであろう2つのケースに分けて、請求手続きの方法を解説します。

4.1 ケース1:すでに年金を受給中で、新たに給付金の対象となった方

支給対象となった場合6/8

支給対象となった場合

出典:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

  1. 毎年9月の初め頃から、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が対象者に順次郵送されます。この請求書を受け取ったら、必要事項を記入し、切手を貼ってポストに投函してください。
  2. 締切日までに提出すれば10月分から遡って給付金を受け取れますが、提出が遅れると、請求した月の翌月分からの支給となってしまいます。できるだけ早めに手続きを済ませることをおすすめします。

※「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた方は、マイナポータルを利用した電子申請も可能です。電子申請で手続きした場合は、はがきを郵送する必要はありません。

4.2 ケース2:これから老齢年金の受給が始まり、給付金の対象にもなる方

  1. 年金の受給権が発生する3カ月ほど前に、年金を受け取るための「年金請求書(事前送付用)」が日本年金機構から送られてきます。この中に「年金生活者支援給付金請求書」が同封されています。
  2. 必要事項を記入した上で、年金の受給が始まる年齢の誕生日の前日以降に、年金請求書とあわせて年金事務所へ提出します。

4.3 翌年以降の手続きは原則として不要です

「毎年手続きが必要なのだろうか」と心配される方もいるかもしれませんが、一度請求書を提出して受給が決定すれば、支給要件を満たし続ける限り、翌年以降の手続きは原則として不要です。

※年金生活者支援給付金は、毎年、前年の所得情報などに基づいて継続して支給できるかの判定が行われます。その判定結果は、毎年10月分(12月支給分)から1年間適用されます。

5. 年金額には個人差がある点も理解しておきましょう

厚生労働省が公表した『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、公的年金の平均的な月額は、国民年金(老齢基礎年金)で5万9310円、厚生年金(国民年金部分を含む)で15万289円です。

しかし、実際に受け取る年金額は人それぞれで、個人差が非常に大きいという点を忘れてはいけません。

特に、現役時代の収入や加入期間によって額が変わる厚生年金では、その差が大きくなる傾向があります。

厚生年金保険(第1号) 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数8/8

厚生年金保険(第1号) 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数

出典:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

「厚生年金に加入していたから年金は多いはず」と考えている方もいるかもしれませんが、実際には月額30万円以上を受け取る方がいる一方で、月額1万円に満たない方もいるなど、受給額は幅広い範囲に分布しています。

ご自身の年金額とその他の所得を合わせても、所得が一定の基準を下回る場合には、「年金生活者支援給付金」の支給対象となる可能性があります。

6. まとめ

この記事では、年金受給者の生活を支える「年金生活者支援給付金」について、その仕組みや対象となる方の条件、手続きの方法などを解説しました。

この制度は、公的年金などの収入が一定の基準に満たない方々の暮らしを、年金に上乗せする形で支援する大切な仕組みです。

ご自身の収入状況から「対象外だろう」と思い込まず、まずは支給要件を一度確認してみることが重要です。

手続き自体は、送られてくる請求書に記入して返送するだけで、決して難しいものではありません。

もし対象となる可能性がある場合は、日本年金機構からのお知らせを見逃さないようにし、速やかに手続きを進めることをおすすめします。

こうした公的な支援制度を正しく理解し、上手に活用していくことが、これからの生活設計を考える上で一つの助けになるのではないでしょうか。

参考資料