今年も梅雨の時期が近づいてきました。そんな季節に気になってしまうのが、駅や電車での「傘マナー」です。みなさんも、満員電車で他の人の傘が当たって服やカバンが濡れてしまったといった経験はありませんか?

細かいことでも、「実は周りの人は意外と気にしている」ということがあるかもしれません。この記事では、駅や電車で周りの人を知らず知らずのうちに不快にしてしまっている……かもしれない「傘マナー」について考えていきましょう。

扱い方によっては危険も

傘は日常的に使うものの中でも特に長くて先が尖っていて、扱い方によっては思った以上に危険な場合もあるモノです。また、雨のときに使うものなので、当然ながら濡れていることも多くあります。そのため、取り扱う際には注意をしなければならない点があります。

たとえば、「傘を勢いよく開く」行為です。ボタンを押せば開くジャンプ傘の場合、思った以上に勢いがつくこともあります。それ意外の傘でも、雨の日に屋内や屋根のある場所に入るとき、いったん傘を軽く閉じてから勢いよく開いて、傘についた雨粒を弾き飛ばすこともよくあるでしょう。

こうしたときは、「石突(いしづき)」と呼ばれる傘の先端が人に向いていると危ないだけでなく、傘についた水滴が飛び散る可能性もあるので、よく周りを見てからするのがいいでしょう。消費者庁はジャンプ傘(販売時のタグなど)の製造業者に「傘の開閉時及びシャフトの伸縮時には、顔や身体から離して使用する」との旨を表示するように求めていますが、これは自分だけではなく他人にとっても同じです。

また、傘は上に向けて開かず、まず斜め下に向けてやや開いてから上に向け、その後しっかり開くのがマナーだとされます。

駅や電車で気をつけたいメジャーな「傘マナー」

では実際に、駅や電車で気をつけなければならない「傘マナー」を見てみましょう。まずは、多くの人ができているメジャーなものをご紹介します。

一つ目は、「傘をたたんだ後にバンドを留めること」。「当然じゃないか」と思う人も多いかもしれませんが、「留めないほうがすぐ乾くから」と言って電車内や人混みの中でもバンドを留めない人もいるようです。

二つ目、「傘を身体の正面で持つこと」。ゆらゆら振り回すのは論外ですが、しっかり持っていても、目が届きにくい身体の横や後ろで杖のようについていると、そこに他の人が足を引っ掛けてしまう場合もあります。特に満員電車では、できるだけ自分の身体に引きつけて正面で持つように気を付けないと、思わぬトラブルの元にもなってしまいます。

実はできていないかもしれない「傘マナー」

ではここで、実はみなさんもできていないかもしれない「傘マナー」を二つご紹介します。

一つ目は、駅の階段を上るときに「傘を地面と垂直に持つこと」です。みなさんは、上りの階段やエスカレーターで、無意識に傘の先端を後ろに向けてしまっていませんか? 特に大人にとって危ないのが「後ろに子どもがいるとき」です。階段で地面と平行に傘を持って上ると、傘の先端が後ろにいる子どもの視線と同じくらいの高さになるので、当たってしまうと大きなケガにつながるかもしれません。お笑い芸人やイラストレーターとして活躍する鉄拳さんも、2017年のツイートでその危険性について指摘しています。

二つ目は、電車内で「傘の先を浮かせないこと」です。手がふさがるのを嫌って、自分のバッグや洋服、腕などに傘をかけている人も多いと思います。しかし、座っている人のズボンに水滴を垂らしてしまったり、バッグを動かす際に予想外の動きをして人に当たってしまったり、ということも多いので注意が必要です。

気にする人もいる! 意外な傘マナー

最後に、やっている人は多いものの、実は不快に思っている人も意外にいる傘の取り扱い方をご紹介します。

それは、都市部の電車に多い長椅子型のシートで、端の席に座れた場合に「手すりに傘を掛ける」行為です。実際、端っこに座れたときは、多くの人は傘を手すりに掛けているのではないでしょうか。そうした人たちは、

「両手が空くから便利だ」
「端の席に座れた人の特権では?」

といった意見を言い、傘を掛けるのは「当たり前」のように思っているかもしれません。しかし、これについては、「被害」に遭った人たちが、

「傘がななめになるから水滴が垂れてきて足にかかる」
「満員電車だと濡れている傘に身体押し付けられてしまうが、どうしようもない」

といった声を上げています。

このように、座っている人も立っている人も、知らず知らずのうちにお互いを不愉快にさせてしまっていることはあるかもしれません。

トラブル回避の二つの知恵

では、どのようにすれば、こうした「傘マナー」をめぐるトラブルを回避できるでしょうか。

一つ目は、「デパートや商業施設でもらえる傘用のビニール袋を、そのまま再利用すること」です。周りの人に傘が当たっても濡らしてしまわないのはもちろん、「この人は周りに気を遣っているな」と感じてもらえるかもしれません。

言うまでもありませんが、ビニール袋を落としてしまい、気づかずそのままにしてしまうと、歩いている人がうっかり滑って転ぶ原因にもなってしまいます。特に人が多い時間帯だと、足元に注意がいきづらく、危険性も増します。

二つ目は「折りたたみ傘を使うこと」です。折りたたみ傘はコンパクトなため、買い物の際にもらえるようなレジ袋(最近は有料の場合も増えてきましたが)の中にも納まり、カバンにも入れることもできます。そのため「傘が当たった」「水滴が垂れた」といった長傘に多いトラブルも回避できます。

もちろん、一般的な折りたたみ傘には、長傘と比べると「強度が低い」「傘の面積が小さい」「閉じているときに、より乾きにくい」といった弱点があるため、折りたたみ傘にすればすべて解決、というわけでもないのが難しいところです。

ともあれ、トラブルを回避するために、いちばん大切なことは、やはりそれぞれの思いやりの気持ちではないでしょうか。周りの人の気持ちになって、「これをされたら不快にならないかな」と気を配ることが、梅雨を乗り越えるために大切なことなのかもしれませんね。

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