インターンシップや早期選考などを通して、早い段階から企業と接点を持つことができる現在の就職活動は、まさに情報戦とも言えます。

じっくりと自分のキャリアを考えながら就職活動ができる現在の大学生は、企業選びでどの程度「第一印象」を重視しているのでしょうか。

今回は直近の調査結果をもとに、就活における「第一印象」が志望度にどれほど影響を与えるのか、そのリアルな実態を紐解いていきます。

1. 企業選びでも「直観」で判断する若者は半数以上

株式会社ベースミーが実施した「就活における第一印象の影響に関する実態調査」を見ていきましょう。

1.1 調査概要

  • 調査題名:就活に関する実態調査
  • 調査方法:インターネット調査(QIQUMOを利用)
  • 調査時期:2025年12月
  • 有効回答:26〜28卒予定の大学生・大学院生300名

1.2 約7割の学生が「直感」で企業を判断している

就活で企業を「あり/なし」と直感的に判断してしまうことはありますか?1/7

出所:株式会社ベースミー「就活における第一印象の影響に関する実態調査」(PRTIMES)

【就活で企業を「あり/なし」と直感的に判断してしまうことはありますか?】

  • ある: 27.3%
  • 時々ある: 38.7%
  • あまりない: 17.0%
  • 全くない: 17.0%

就職活動において、企業を「あり」か「なし」か直感的に判断してしまうことがあるかという問いに対し「ある」が27.3%、「時々ある」が38.7%と回答しました。

全体の66%が「直感」で企業を判断していることがわかります。

私自身、就活をしていたときには「この会社の人はなんとなく雰囲気が合うな」などというように直感で判断をしていたこともありました。

では、就活生は一体どのタイミングで「この会社は自分に合う・合わない」を決めているのでしょうか。次からは、企業の印象が決まるタイミングを見ていきます。

2. 【就職活動】会社の印象が決まるのは「最初の10分以内」

企業の印象が「あり/なし」で決まるのは、どのタイミングだと思いますか?(単一回答)2/7

出所:株式会社ベースミー「就活における第一印象の影響に関する実態調査」(PRTIMES)

【企業の印象が「あり/なし」で決まるのは、どのタイミングだと思いますか?(単一回答)】

  • 最初の10分以内: 108
  • 選考全体を終えて、振り返って判断する: 85
  • 初回の接点(説明会・面談)を最後まで過ごした後: 75
  • 最初の30秒(見た瞬間): 32

企業の印象が決まるタイミングとして、最も多かった回答は「最初の10分以内」で108票にも上ります。

「最初の30秒(見た瞬間)」で決めるという層も32票存在しており、説明会や面談の冒頭がいかに重要かがわかります。

「初回接点を最後まで過ごした後に判断する」が75票、「選考全体を終えてから振り返る」が85票というように、ある程度接点を持ったうえで判断する人も一定数いますが、多くの学生が早い段階で心のシャッターを半分閉めている可能性があるのです。

最初の接点である合同説明会の段階で「あり/なし」が決まる企業もあれば、選考を最終面接まで受けて「やっぱり違ったかも」と思う企業もあるでしょう。

就活を終えて振り返ってみると、すべての企業ではないものの、最初に「なし」と思った企業について「選考を受けておけばよかった」と思うこともあります。

限られた時間の中ですべての企業と接点を持ち続けることは難しいですが、選択肢は広げておいたほうがいいかもしれませんね。

3. 致命的な「なし」判定。その理由は「雰囲気」と「態度」

企業を「なし」と感じたのは、どのような場面が多かったですか?(複数回答)3/7

出所:株式会社ベースミー「就活における第一印象の影響に関する実態調査」(PRTIMES)

【企業を「なし」と感じたのは、どのような場面が多かったですか?(複数回答)】

  • 説明会・面談の最初の数分で、雰囲気が合わないと感じた: 142
  • 企業側の態度や話し方が合わなかった: 118
  • 説明が抽象的で、働くイメージが湧かなかった: 69
  • SNSやサイトの印象と実際が違った: 51
  • 情報が薄い、または出すタイミングが合わないと感じた: 47
  • 一方的に話され、理解されていないと感じた: 40

企業を「なし」だと感じてしまう場面として、最も多くの票を集めたのは「説明会・面談の最初の数分で、雰囲気が合わないと感じた」で142票に上りました。

また「企業側の態度や話し方が合わなかった」が118票あるように、具体的な振る舞いも大きな影響を与えています。

「SNSやサイトの印象と実際が違った」などといった下調べした情報とのギャップ以上に、目の前の「人」がどうであるかを重要視しているようです。

3.1 一度ついたネガティブな印象は、ほぼ覆らない

「なし」と判断した企業の印象が、その後の接点で変わったことはありますか?(単一回答)4/7

出所:株式会社ベースミー「就活における第一印象の影響に関する実態調査」(PRTIMES)

【「なし」と判断した企業の印象が、その後の接点で変わったことはありますか?(単一回答)】

  • ほとんど変わらない: 115
  • 「なし」と思った時点で選考をやめた: 60
  • 少しだけ好転したことがある: 40
  • 全く変わらない(最初の印象のまま): 22
  • 完全に覆ったことがある: 12

一度「なし」と判断された企業の印象は、その後の接点で「ほとんど変わらない」が115票で最も多く、「全く変わらない」も22票を集めています。

さらに、約2割の学生は「なし」と思った時点で選考そのものをやめてしまいます。

印象を「完全に覆せた」ケースはわずか12票にとどまっており、リベンジの難しさを物語っていますね。

4. 「直感」のズレが招くミスマッチ?データで見る早期離職の現状

新規学卒就職者の就職後3年以内離職率5/7

出所:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」

学生が企業の第一印象を「直感」で判断する場面が多い中で、入社後の現実とのギャップによる「早期離職」は、依然として深刻な社会課題となっています。

4.1 新規学卒就職者の就職後3年以内離職率

  • 中学: 54.1% (+3.6P)
  • 高校: 37.9% (▲0.5P)
  • 短大等: 44.5% (▲0.1P)
  • 大学: 33.8% (▲1.1P)

厚生労働省が公表した最新の統計によると、新規学卒就職者のうち、就職後3年以内に離職した人の割合は、大学卒で33.8%、高校卒では37.9%にのぼります。

実に3人に1人以上が、入社からわずか3年足らずで離職という決断を下しているのが現状です。

4.2 新規学卒就職者の事業所規模別就職後3年以内離職率(学校別)

※( )内は前年差増減、「▲」はマイナス(減少)

新規学卒就職者の事業所規模別就職後3年以内離職率(学校別)6/7

出所:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」

新規学卒就職者の産業別就職後3年以内離職率のうち離職率の高い上位5産業7/7

出所:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」

高校

  • 5人未満: 63.2% (+0.7P)
  • 5~29人: 54.6% (+0.2P)
  • 30~99人: 45.2% (▲0.1P)
  • 100~499人: 36.7% (▲0.4P)
  • 500~999人: 29.9% (▲1.6P)
  • 1000人以上: 26.3% (▲1.0P)

大学

  • 5人未満: 57.5% (▲1.6P)
  • 5~29人: 52.0% (▲0.7P)
  • 30~99人: 41.9% (▲0.5P)
  • 100~499人: 33.9% (▲1.3P)
  • 500~999人: 31.5% (▲1.4P)
  • 1000人以上: 27.0% (▲1.2P)

4.3 新規学卒就職者の産業別就職後3年以内離職率のうち離職率の高い上位5産業

※「その他」を除く

高校

  • 宿泊業,飲食サービス業: 64.7% (▲0.4P)
  • 生活関連サービス業,娯楽業: 61.5% (+0.5P)
  • 教育,学習支援業: 53.6% (+0.5P)
  • 医療,福祉: 49.2% (▲0.1P)
  • 小売業: 48.3% (▲0.3P)

大学

  • 宿泊業,飲食サービス業: 55.4% (▲1.2P)
  • 生活関連サービス業,娯楽業: 54.7% (+1.0P)
  • 教育,学習支援業: 44.2% (▲2.4P)
  • 医療,福祉: 40.8% (▲0.7P)
  • 小売業: 40.4% (▲1.5P)

離職率は、企業の規模や産業によっても大きな開きがあります。

事業所規模別では、従業員1000人以上の大企業における大卒離職率が27.0%であるのに対し、5人未満の小規模事業所では57.5%と、2倍以上の格差が生じています。

また、産業別に見ると「宿泊業,飲食サービス業」が55.4%と最も高く、次いで「生活関連サービス業,娯楽業」が54.7%と、サービス系職種での離職が際立っています。

先ほどの調査にあったように、短い時間の直感で企業を判断することがあることことで、新卒入社でのミスマッチが起こることも否定できません。

だからこそ、直感で「良い」と思った企業に対しては「どうしてそう思ったのか」を、反対に「合わないだろう」と思った企業でもその企業について深く知ろうとするのも大切かもしれません。

企業側も、いかにその「直感」の裏付けとなるリアルな情報を提示できるかが重要でしょう。

5. まとめにかえて

Z世代の就活生は、たくさんある企業の中から効率的に自分に合う環境を探すため、早いスピードで企業を見定めているようです。

情報がたくさんあるからこそ、自分が感じた「第一印象」を大切にしつつ就職活動をしているとも言えます。

その一方で、就活生には「本当にその直感は間違っていないか」を確かめることを大切にしてほしいと思います。

OB訪問や事業所の見学などを通して、どんな人が働いていて、どのような雰囲気なのか知ることで、最初に抱いていた印象とは異なる印象を持つかもしれません。

企業側は、就活生がより良い選択をできるようにするためにも、説明会の最初の一言、面談冒頭の表情一つひとつで今後が左右されることと、その先の機会でより深く知ってもらうことの二つが大切であることを理解し、実践すべきでしょう。

参考資料