日本はかつて世界第2位の経済大国と言われ、40年以上アジアの経済盟主として君臨していました。ところが、2010年に中国の国内総生産(GDP/名目GDP)が日本を抜き去り、そのころから他のアジア諸国も急激な経済成長を遂げています。いったい、現在の日本は世界でどのくらいの経済力を持っているのでしょう。
日本の現在地
国別GDPランキングでは中国に抜かれてしまいましたが、国民一人当たりのGDPをみると、また景色が違って見えます。
後者で見ると日本はまだまだ健闘しているのでは、と思いたいところですが、現実はさにあらず。図表1で見ていただくと、世界211カ国中32位ですから、サッカーのFIFAワールドランキングと似たような順位です(2019年4月4日現在、日本のランキングは26位)。
メチャクチャ強くもなく弱くもなく、、、といった位置づけでしょうか。
国別GDPで世界第3位ながら、国民一人当たりGDPでは第32位という事実。これって、かなりショッキングな数字ではないでしょうか。つまり、「日本株式会社」の売り上げは世界3位ながら、社員一人当たりの売り上げでは世界で32番目ということになります。
アジア・オセアニア地域では、日本はニュージーランドに次いで6位ですから、もはや同地域の盟主でも何でもありません。しばらくこうした類のデータは見ていませんでしたが、いつの間にか日本はマカオや香港にも抜かれていたのですね。少々ショックです。
理由はいろいろあるでしょうが、一人当たりGDPが低迷しているというのは、計算上、生産性が低いということです。では、このような凋落はどうして起きたのでしょう。以下、つらつら考えてみました。
1人当たりGDPが上がらない原因
(1)巨大な日本の経済基盤
1人当たりGDPを上げるには、GDP自体を大幅に増やすか、GDPが変わらないとすれば人口が減っていかなければなりません。
たとえば、オーストラリア並みの一人当たりGDPを達成するには、人口が減らない前提であれば、日本のGDPが1.5倍増加しなければなりません。一方、GDPが変わらないとすれば、日本の人口が33%減少しないと達成できません。いずれもすぐには実現不可能です。
日本の場合、人口が1億2000万人を超え、かつGDPも世界第3位と巨大ですから、一人当たりGDPが急伸するのはほぼ不可能です。“一人当たり”で比較すると、どうしても人口の少ない先進国に分があります。