2月に入り、暦の上では春を迎えましたが、依然として暖房が手放せない寒い日が続いています。光熱費や物価の高騰が続くなか、日々の生活費に負担を感じている方も少なくないでしょう。
実際に、現在のシニア世代は家計に対してどの程度の厳しさを感じているのでしょうか。金融経済教育推進機構(J-FLEC)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によると、70歳代の世帯では、二人以上世帯・単身世帯のいずれも87%が「ゆとりがない」と回答しており、多くの世帯が経済的な圧迫を感じている実態が明らかになりました。
このような状況において、家計の安定を図るために活用したいのが、公的年金に上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」です。次回の年金支給日は2月13日(金)に予定されています。この機会に、ご自身が給付金の対象となるか、また、いくら受け取れるのかを把握しておくことが、物価高の時代を乗り切るための一助となるかもしれません。
この記事では、物価上昇への対策として改めて確認しておきたい「年金生活者支援給付金」の制度内容と、受給のための重要なポイントをわかりやすく解説します。
1. 老後の年金受給額は人によって大きく異なる
厚生労働省が発表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、公的年金の平均的な月額は、国民年金(老齢基礎年金)が約5万円、厚生年金(国民年金部分を含む)が約15万円です。
ただし、これらの金額はあくまで平均であり、実際の受給額は個人差が非常に大きいです。例えば、厚生年金を月に30万円以上受け取る人がいる一方で、国民年金と厚生年金を合わせても月額3万円に満たない人も存在します。
年金収入とその他の所得を合計しても、一定の基準額を下回る場合には、「年金生活者支援給付金」の支給対象となる可能性があります。
2. 年金生活者支援給付金の支給額は?2026年4月分から3.2%増額
年金生活者支援給付金は、年金収入や所得が一定基準以下の人々を支える目的で2019年に導入された制度です。この給付金は、2カ月に1度、公的年金とあわせて支給されます。
この制度は、受給している年金の種類に応じて、以下の3つに分類され、それぞれに支給要件や支給額が定められています。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
2.1 2026年度の年金生活者支援給付金の支給額
2026年度における年金生活者支援給付金の額は、前年度と比較して3.2%の引き上げが決定しました。
【2026年度の基準額】
- 老齢年金生活者支援給付金(月額):5620円
- 障害年金生活者支援給付金(月額):1級 7025円、2級 5620円
- 遺族年金生活者支援給付金(月額):5620円
老齢年金生活者支援給付金の場合、この基準額を基に、保険料の納付期間などに応じて個々の支給額が算出されます。
上記の金額は月額であり、実際の支給時には2カ月分がまとめて年金に上乗せされます。基準額通りに受け取れる場合、1回の支給で約1万1000円、年間では約6万7000円が支給される計算です。
ちなみに、「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2025年3月時点での平均給付月額(※)は、老齢年金生活者支援給付金が4146円、障害年金生活者支援給付金が5727円、遺族年金生活者支援給付金が5228円でした。
※2025年3月時点で認定されている方の平均給付額です。
3. 年金生活者支援給付金、2月13日に年金とあわせて支給される対象者は?
ここでは、年金生活者支援給付金を受け取るための具体的な要件を確認していきましょう。
「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」の対象となるのは、それぞれ障害基礎年金または遺族基礎年金を受給しており、かつ前年の所得が479万4000円以下の方です。
この所得判定には、障害年金や遺族年金といった非課税収入は含まれません。また、扶養親族の人数に応じて所得の基準額は引き上げられます。
一方、「老齢年金生活者支援給付金」については、本人の所得以外にもいくつかの要件が設けられています。
3.1 老齢年金生活者支援給付金の支給要件
老齢年金生活者支援給付金は、以下の要件をすべて満たす方が対象となります。
- 65歳以上で老齢基礎年金を受給している
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税である
- 前年の公的年金などの収入金額とその他の所得の合計額が、昭和31年4月2日以降生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下である
この判定においても、障害年金や遺族年金などの非課税収入は所得に含まれません。
また、所得が基準額をわずかに超えたために給付の対象外となる方との公平性を保つため、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という仕組みが用意されています。
補足的老齢年金生活者支援給付金について
昭和31年4月2日以降に生まれた方で所得が80万9000円を超え90万9000円以下の場合、また昭和31年4月1日以前に生まれた方で所得が80万6700円を超え90万6700円以下の場合には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
この給付金は、所得額に応じて支給額が調整される仕組みになっています。
4. 年金生活者支援給付金は申請が必要な制度
年金生活者支援給付金は、自動的に支給が開始されるわけではなく、受け取るためには請求手続きが必要です。
すでに年金を受給している方で、所得の減少などにより新たに給付金の対象となった場合、毎年9月1日以降に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次送付されます。
4.1 毎年9月頃に届く「緑の封筒」とは
※すでに年金を受け取っている方でも、繰上げ受給を選択している場合は書類の形式が異なることがあります。
これから65歳になる方には、誕生日の3カ月前に、老齢基礎年金の請求書とあわせて給付金の請求書が送られてきます。同封されている請求書に必要事項を記入し、年金の請求書と一緒に提出してください。
4.2 給付金の手続きは毎年必要なのか
年金生活者支援給付金は、一度請求手続きを行えば、支給要件を満たし続ける限り、2年目以降は手続き不要で継続して受け取ることが可能です。
継続して支給されるかどうかの判定は、前年の所得に基づいて毎年行われ、その結果は10月分(12月支給分)から1年間適用されます。もし支給対象外となった場合は、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が郵送されます。
また、毎年度(4月分から)の支給額については、毎年6月上旬に送付される「年金生活者支援給付金 支給金額(改定)通知書」および「年金生活者支援給付金 振込通知書」で確認できます。
5. まとめ
この記事では、年金生活者支援給付金について詳しく解説しました。この給付金を受け取るには請求手続きが必須ですので、ご自身が対象と思われる場合は、忘れずに申請を行うようにしましょう。
物価の上昇に伴い年金額も改定されていますが、その上昇率が物価高に追いついておらず、実質的には価値が目減りしている状況です。今後も物価の上昇が続くと予想されるため、インフレへの備えがますます重要になります。
株式や投資信託などを活用した資産運用は、インフレ対策の一つとして有効です。年金や給付金だけに頼るのではなく、ご自身の判断で老後資金を準備していくことも検討してみてはいかがでしょうか。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金の概要」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求手続きのご案内(令和7年度版)」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
- 総務省「個人住民税」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
- 厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」
- 日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
- LIMO「【国の給付金】2月13日の支給日「ふつうの年金に上乗せされる人とは?」年金生活者支援給付金のイロハ」





