「若者の管理職離れ」という言葉が定着して久しくなっていますが、今ではその本音は少し異なるようです。
正確には、「管理職を目指したくない」という人もいれば、「出世したい」と考えている人もいるというのが事実でしょう。
そこで今回は、最新の調査結果からZ世代が出世に対して抱いているリアルな価値観を見ていき、今の学生が考える働き方に迫ります。
1. 若者の「管理職離れ」傾向は過去のもの?
株式会社ベースミーが実施した「出世欲と理想のマネジメントに関する調査」を見ていきましょう。
1.1 調査概要
- 調査対象:24〜27卒の大学生
- 有効回答数:450名
- 調査方法:インターネット調査
- 調査時期:2025年12月
- 調査機関:株式会社ベースミー
1.2 Z世代の約6割が「出世したい」と回答
あなたは働く(予定)の会社で「出世」したいですか?
- ある程度したい: 39.8%
- 出世について考えたことがない: 20.9%
- したい: 20.4%
- あまりしたくない: 12.7%
- 全くしたくない: 6.2%
「将来的に今の会社(または入社予定の会社)で出世したいか」という問いに対し、意外にも約60.2%もの学生が出世に対して肯定的な意向を持っています。
一方で「全くしたくない」と答えた人はわずか6.2%にとどまっており、一時期広まった「昇進を避ける若者像」とは異なる実態が見えてきました。
2. 出世を目指す最大の動機は「給与」と「裁量」
調査では、出世を目指す理由についても回答が集まっています。
2.1 出世を目指す理由は?(複数回答、n=271)
- 給与や待遇をあげたいから: 213
- 裁量権を持って仕事がしたいから: 80
- 転職や独立の際に役立ちそうだから: 42
- 部下を育ててチームで仕事がしたいから: 34
- 親や周囲を安心させたいから: 37
- 自慢できるから: 16
最も多かった理由は「給与や待遇をあげたいから」で、2位以下を大きく引き離す圧倒的な1位となりました。
次いで、自分の判断で仕事を進められる「裁量権を持って仕事がしたい」という声も多く、自律的な働き方を求めているようです。
また、単なる社内評価だけでなく「転職や独立の際に役立ちそう」といった、自身の市場価値向上を視野に入れたキャリア形成として出世を捉えている点も、転職が普通となっている今を表す特徴と言えるでしょう。
このような理由を見ると、「この会社で経営層を目指したい」というような会社内での出世ではなく、自信のキャリアの実現可能性や働き方を考えて、出世を目指していることがわかります。
3. 出世を望まない層が懸念するのは「プライベートの喪失」
反対に、出世を望まない派の声も聞いていきましょう。
3.1 出世を目指さない理由は?(複数回答、n=85)
- 収入をそこまで重視していないから: 6
- 責任を負いたくないから: 42
- プライベートの時間を大切にしたいから: 45
- 出世より副業や投資に興味があるから: 9
- 会社に長くいるつもりがない(いずれ辞める)から: 17
約2割の出世を望んでいない層では、ワークライフバランスを重視している人が多いようです。
また「責任を負いたくない」という声も多く、責任の重さと引き換えに自由な時間が奪われることへの強い抵抗感が見て取れます。
ただ、収入を重視していないというわけでもないことから、担当者としてしっかりと評価され、収入を上げていくという働き方も求められているかもしれません。
また「会社に長くいるつもりがない(いずれ辞める)」といった回答もあり、「社内での昇進」よりも「個人のライフスタイル」を優先するのは、出世を望む人と大きく変わらないようです。
4. 理想の上司像は「具体的フィードバック」と「程よい距離感」
Z世代が前向きに出世を目指せる環境を作るには、マネジメントのあり方も重要です。マネジメントには、上司の接し方や指導の方法が重要となるでしょう。
続いて「どんな上司にマネジメントされたい」のか、リアルな声も見ていきます。
4.1 どんな上司にマネジメントされたい?
- 褒めて育ててほしい: 189
- 良い点・改善点を具体的にフィードバックしてほしい: 201
- 必要なときだけサポートし、基本は任せて欲しい: 86
- 成長につながるなら厳しく指導してほしい: 48
- フランクに話せる距離感がいい: 119
- 業務以外には深入りせず距離を保ってほしい: 114
指導スタイルとしては、「良い点・改善点を具体的にフィードバックしてほしい」という要望が最も多く、次いで「褒めて育ててほしい」という声が続いています。
精神論ではなく、自分の成長に直結する具体的なアドバイスを求める傾向が非常に強いことが分かります。
また「フランクに話せる距離感がいい」と「業務以外には深入りせず距離を保ってほしい」という声が同程度であり、業務の相談はしやすいほうが良いが、プライベートにはあまり立ち入ってほしくないという距離感のバランスが求められています。
4.2 理想の上司の年齢差や特徴は
- 年齢差が5歳以内の上司がいい(話しやすい): 64
- 年齢差が5〜10歳の上司がいい(程よい距離感): 110
- 年齢差が10歳以上の上司がいい(安心・頼りがい): 51
- マネジメント経験が長い上司がいい: 43
- 仕事の実力がある上司がいい(年齢や社歴は関係ない): 58
- 特に気にしない: 124
上司との年齢差については「特に気にしない」という人が最多ですが、希望がある場合は「年齢差が5〜10歳の、程よい距離感の上司」を求める声が目立ちます。
近すぎず遠すぎない、フラットかつ専門的なアドバイスをくれる先輩のような存在が、理想のリーダー像と言えそうです。
5. 数値で見る「管理職」のリアル
ここで、出世の目標となりやすい「管理職」の給与事情について、厚生労働省の賃金構造基本統計調査から実態を見ていきます。※調査実施年6月分の所定内給与額の平均値。6月分として支給された現金給与額のうち、超過労働給与額を差し引いた金額(所得税等を控除する前の額)。
5.1 平均賃金:全体(男性・女性)
- 部長:62万7200円(男性63万6400円・女性54万9900円)
- 課長:51万2000円(男性52万2400円・女性45万8100円)
- 係長:38万5900円(男性39万6300円・女性35万4000円)
- 非役職者:30万2800円(男性32万5600円・女性27万300円)
役職別で見るとそれぞれ10万円前後の賃金差がみられました。また、同じ役職でも男女での差が見られます。
長期的なキャリア形成の果てに得られる「賃金面」でのリターンは、大きいと言えるでしょう。
6. まとめにかえて
Z世代は決して全員が管理職を避けているわけではなく、「正当な対価」と「働きやすさ」「裁量」が得られるのであれば、積極的にキャリアアップを目指したいと考えている人も多いことがわかりました。
とはいえ、全員が管理職を目指しているわけではないことも事実です。一人ひとりのライフプランや価値観によっては、そもそも管理職を目指さないという考え方もあるでしょう。
企業側は、管理職に対する責任が重く忙しいイメージを払拭し、個人の成長とプライベートを両立できる環境を提示することで、優秀な若手の意欲を引き出せるかもしれません。
また、管理職を目指すだけの働き方ではなく、役職につかずとも社内でしっかりとキャリアを築けることも重要です。
このように、多様なキャリアアップの在り方が求められるでしょう。
参考資料
LIMO・U23編集部