三女出産時の悲しいエピソードを娘である筆者が知ることになるのは、その30年後のことでした。

筆者は母から話を聞くまで、母のお腹にある大きな縫い傷は三女を帝王切開で産んだときにできたものだろうと思い込んでいました。しかし実際には、三女は自然分娩かつ超安産で、母子とも健康な出産だったが、その後の不妊手術の跡だと言うのです。

諸々のエピソードを聞き、まずは母が子どもを産めない体だったという事実への素直な驚きが。その後、なぜ母は不妊手術を拒否しなかったのか…そもそも祖母はなぜ、健康な母の体に大きい傷を残してまで、不妊手術をさせたかったのか…得体の知らない怒りが沸々と湧き上がったのを覚えています。

さらになぜ今になって、過去の辛い経験を吐き出そうと思ったのかを母に聞いてみたところ、そのきっかけは、筆者の出産に母が立ち会ったことだったと言うのです。

母は筆者が産んだ子どもをはじめて抱いた時、「新しい命はなんて美しくて、すばらしいのだろう!」という気持ちがあふれ、そして「孫の誕生を喜ばない祖母なんて、いるはずがない!」と心の底から思えたそうです。

長年の間、自分が産んだ三姉妹は家にとって望まれない存在なので、自ら守るしかない!と育児に奮闘してきたそうです。しかし自身も孫を持つ立場になったことにより、きっと祖母も孫の誕生を喜び、愛情を持って接してくれていたのだろうと思えるようになったそうです。当時そのことに気付けなかったのは、心に余裕がなかったせいだと。

そんな想いがあふれ、長女である筆者に話を聞いてもらいたくなったとのこと。母は長年闘ってきたしがらみから開放され、晴れやかな顔をしているように見えました。

祖母は20年以上前に亡くなったので、今となっては当時の心境を聞くことはできませんが、祖母も孫の誕生を喜んでくれていたと思えたことは、母にとってその後の人生観をも左右する価値ある出来事だったのだろうと思えてなりません。

■男でも女でも関係ない!すべての命は歓迎されている

結婚後の子どもの有無や子どもの性別などについて、考え方は人それぞれ。そのため、時に信じられないような行為を目の当たりにしたり、実際にひどい経験したりするということもあるかもしれません。

しかし周りになんと言われようと、親さえ「この子は望まれて産まれて来たんだ!」という信念を持っていれば、どんな場面にも強い心で対峙することができるのではないでしょうか。

上田 みどり