結論から言うと、ネクタイ需要は激減しています。日本ネクタイ組合連合会を構成する大組織の東京ネクタイ協同組合によれば、ネクタイの国内生産本数は、2005年の約1,164万本から2017年には約398万本へと▲66%減っています。ちょうど3分の1になったわけです。
また、輸入品を含めた本数で見ても、同じく4,026万本から2,085万本へ▲48%以上の減少です。輸入品を含めた本数は国内の需要全体を意味しますが、こちらはザックリ言えば半減でしょうか。
これだけ需要が激減して、何の影響もないはずがありません。しかも、国産ネクタイの需要激減が著しいことを勘案すると、ネクタイ業界では廃業に追い込まれた業者も少なくないと推察されます。
結果として社会ニーズの変化に対応できなかったネクタイ業界
実は、民主党政権が本格始動した2010年、日本ネクタイ組合連合会は当時の環境大臣にクールビズの廃止を陳情しています。自民党が無理でも、民主党なら理解してもらえると考えたのでしょうか?
心情的には理解できないことはありません。しかし、クールビズ導入から5年も経過してなお、新たな一手を打てなかったところに、ネクタイ業界の限界を感じます。結果として、ネクタイ業界は社会ニーズの変化に対応できなかったと言えるでしょう。
今後も、こうした些細なことで始まる社会ニーズの変化により、消滅する業界、淘汰される業界、そして、新たに興隆してくる業界があるでしょう。それを注目していきたいと思います。
葛西 裕一