5.2 定期預金が「個人向け国債よりも有利」と考えられる2つの場面

個人向け国債は高い安全性が特長ですが、留意しておきたい点も存在します。

資金の使い道や目的によっては、個人向け国債よりも定期預金やほかの金融商品のほうが適している場合もあるため、事前に整理しておくことが大切です。

1:短期間で資金が必要になる可能性がある場合

個人向け国債は、購入後1年間は原則として換金できません。

さらに、1年経過後に中途換金する場合でも、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれる仕組みになっています。

これに対して定期預金は、中途解約を行っても元本が失われることはありません。

解約時には通常より低い金利が適用されるなどの扱いはあるものの、国債のように利息分を差し引かれる形とは異なるのが一般的です。

そのため、近いうちに資金を使う可能性がある場合には、定期預金のほうが取り回しのしやすい選択肢といえるでしょう。

2:市場金利の急激な上昇期である場合

変動10年タイプの個人向け国債は、利率の見直しが6カ月ごとに行われる仕組みです。

そのため、市場金利が大きく上昇した場合でも、その影響が直ちに国債の利率へ反映されるとは限りません。

このようなタイムラグがあるため、高金利の定期預金などへ迅速に資金を移せるケースと比べると、金利上昇局面における収益のチャンスを逃す可能性がある点には留意が必要でしょう。

6. 【失敗回避】個人向け国債で「注意したい」ポイント

個人向け国債は安全性の高さが魅力ですが、購入時に注意したいポイントがいくつかあります。

よくある失敗の一つが、生活費の備えとなる資金までまとめて投入してしまうケースです。

個人向け国債は購入から1年間は原則として換金できないため、急な支出が発生した際に身動きが取りづらくなります。

また、利率の数字だけに注目し、満期の違いを軽視する点にも注意が必要です。

3年・5年・10年という期間が、自身のライフプランに合っていなければ、使い勝手は悪くなりがちです。

さらに、特定のタイプに資金を偏らせると、満期や金利タイプを分けることで得られる分散効果を失ってしまいます。

個人向け国債を取り入れる際は、安全性だけで判断せず、資金の動かしやすさや期間、配分のバランスまで含めて考えることが重要です。