生活保護を受給している世帯には、冬場の光熱費や燃料代の増加を補うために「冬季加算」が上乗せ支給されます。
しかし、住んでいる地域によって寒冷度が異なるほか、世帯人数によっても必要な費用が変動するため、状況に応じた金額が支給される仕組みとなっています。
本記事では、冬季加算の概要や金額の決まり方を解説するとともに、支給額が最も高い「Ⅰ区」と最も低い「Ⅵ区」ではどのくらい金額に差が生じているのかを比較します。
1. 生活保護制度の冬季加算とは
生活保護制度とは、生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行う制度です。
健康で文化的な最低限度の生活を保障するだけでなく、自立をサポートすることも目的としています。
生活保護には、生活上必要な費用ごとに8つの扶助種類があります。
例えば、食費や水道光熱費は「生活扶助」、賃貸物件の家賃は「住宅扶助」といった扶助で支給されます。
支給額は基準が決められていますが、冬場は暖房などの使用により光熱費や燃料費が増加するケースが多く、基準額ではカバーしきれないことが考えられます。
そこで、生活扶助を受給している世帯に、原則として11月〜3月の間、生活扶助に上乗せして「冬季加算」が加算されます。
1.1 生活保護制度の冬季加算「支給額は地域によって異なる」
冬季加算の支給額は、以下の6つの区分ごとにそれぞれ異なります。
- Ⅰ区:北海道・青森県・秋田県
- Ⅱ区:岩手県・山形県・新潟県
- Ⅲ区:宮城県・福島県・富山県・長野県
- Ⅳ区:石川県・福井県
- Ⅴ区:栃木県・群馬県・山梨県・岐阜県・鳥取県・島根県
- Ⅵ区:その他の都府県
冬季加算の付与期間は、原則として11月から翌年3月までですが、Ⅰ区やⅡ区など寒さの厳しいエリアでは、10月から翌年4月までと長く設定されています。
※Ⅲ区とⅣ区の支給期間は11月から翌年4月までのケースもあります。
2. 生活保護の「冬季加算の支給額」の決まり方
冬季加算の支給額は、以下の3つの要素で決定します。
- 地域区分(6つの区分)
- 世帯人数
- 級地区分
地域区分は前章で解説したI〜Ⅵまでの6つの区分のことです。
また、世帯人数によって必要な光熱費が異なるため、人数に応じた金額が設定されます。
級地区分とは、住んでいる地域の物価や生活様式の違いに合わせて、支給額を調整する仕組みのことです。
全国を3つの級地に分け、それぞれをさらに2つに区分する3級地6区分制(1級地-1、1級地-2、2級地-1、2級地-2、3級地-1、3級地-2)となっています。
2.1 6つの地域区分ごとの加算額の例
では、I〜Ⅵまでの6つの区分によって、冬季加算額はどのくらい違うのか、厚生労働省「生活保護法による保護の基準」をもとに確認していきます。
例えば、単身世帯の地域区分ごとの冬季加算額は以下の通りです。
- Ⅰ区:1万2780円
- Ⅱ区:9030円
- Ⅲ区:7460円
- Ⅳ区:6790円
- Ⅴ区:4630円
- Ⅵ区:2630円
Ⅰ区とⅥ区を比較すると約1万円の差が生じており、寒さの厳しい地域では、より手厚い保護がなされていることがわかります。
また、3人世帯の場合は以下のようになります。
- Ⅰ区:2万620円
- Ⅱ区:1万4570円
- Ⅲ区:1万2030円
- Ⅳ区:1万950円
- Ⅴ区:7470円
- Ⅵ区:4240円
世帯人数が増える分、同じ地域区分でも単身世帯よりも高額になります。
2.2 生活保護の冬季加算「特別基準」に該当するとさらに支給額が増える
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冬季加算には「特別基準」が設けられており、以下の要件に該当する場合、基準額の1.3倍の金額を受給できます。
- 障害や疾病の療養のために外出が難しく、常時在宅する必要がある世帯
- 1歳未満の子どもがいる世帯
こういった世帯では在宅する時間が長くなり、その分光熱費もかかることから、一般的な金額よりも増額する分を補填するために支給されます。
2.3 12月には「期末一時扶助」が支給される
生活保護受給世帯に対して、年末年始の特別な支出に充てるために12月に「期末一時扶助」が支給されます。
いわゆる「おもち代」といわれるものです。
支給額は級地区分や世帯人数などにより異なり、例えば東京都では以下の金額が支給されます。
【期末一時扶助の支給額】
- 単身世帯:1万4160円
- 2人世帯:2万3080円
- 3人世帯:2万3790円
- 4人世帯:2万6760円
世帯人数が増えると少しずつ増額しますが、例えば正月飾りなどは1つの世帯に1つあれば良いため、人数に比例して倍増するものではありません。
3. 【参考】生活保護を受給できる要件とは
生活保護が受給できるのは、保有している資産をすべて活用し、働ける場合は働き、ほかの制度を活用してもなお生活が苦しい場合です。
具体的には、要件の要件を満たす必要があります。
3.1 【資産の活用】
預貯金や生活に利用していない土地・家屋などを保有している場合は、売却するなどして資金化し、生活費に充てること
3.2 【能力の活用】
働ける場合は、健康状態や年齢など能力に応じて働くこと
3.3 【他の制度を優先して活用】
公的年金や手当など、ほかの制度で給付を受けられる場合は、それらを優先して活用すること
3.4 【扶養義務者の援助を優先】
親や子ども、兄弟などの扶養義務者から援助を受けられる場合は、生活保護よりそれらが優先される
これらの要件を満たしたうえで、世帯収入と国が定める「最低生活費」を比較します。
世帯収入が最低生活費に満たない場合、その不足分が支給される仕組みです。
4. まとめ
生活保護受給世帯には、冬場の光熱費や燃料代の増加を補うため「冬季加算」が上乗せ支給されます。
支給額は、住んでいる地域や世帯人数などにより異なり、寒冷地であるほど、また、世帯人数が多いほど高額になります。
さらに、冬季加算の「特別基準」に該当する場合は、基準額の1.3倍の金額を受給することが可能です。
支給対象者や金額は自治体により異なるため、詳しい内容は市区町村役所の生活保護担当窓口で確認してください。
※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。
参考資料
木内 菜穂子