技術革新の急速な進展や高齢者の就業率の高まりなどを背景に、社会人の学び直しが注目されています。資格取得やスキルアップを目指したいけれど、受講費用が高いために諦めていませんか。国には社会人の資格取得や学び直しを支援するさまざまな公的制度があります。
本記事では、その中でもキャリアアップや転職に役立つ6つの制度を解説します。将来の選択肢を広げるために、どのような公的制度があるかを確認しておきましょう。
1. 【学びなおし】看護師や保育士も!受講料の最大80%戻ってくる?3つの《教育訓練給付金》
資格取得やスキルアップを支援する公的制度のうち、最初に紹介するのが教育訓練給付金です。教育訓練給付金は、所定の教育訓練を修了後、申請によりその費用の一部が雇用保険から支給されます。
教育訓練には「専門実践教育訓練」「特定一般教育訓練」「一般教育訓練」の3種類があり、対象講座は厚生労働省の「教育訓練給付制度検索システム」で確認できます。
1.1 《教育訓練給付金①》専門実践教育訓練
専門実践教育訓練は、高度な専門スキルを身につけ中長期的なキャリア形成につながる講座が対象です。看護師や保育士、診療放射線技師などの国家資格取得や高度なITスキルの習得を目指す講座が該当します。
年間40万円を上限に受講費用の50%(最大で80%・年間上限64万円)が支給され、もっとも手厚い支援を受けられます。受講前に「訓練前キャリアコンサルティング」を受けて、ハローワークで「受給資格確認」してもらうことが必要です。
1.2 《教育訓練給付金②》特定一般教育訓練
特定一般教育訓練は、専門実践教育訓練より短期間で取得でき再就職やスキルアップに役立つ資格取得などを目的とする講座が対象です。宅地建物取引士やキャリアコンサルタント、大型一種免許などの資格取得を目的とする講座があります。
給付金は年間上限20万円を上限に受講費用の40%(最大で50%・年間上限25万円)で、専門実践教育訓練より給付率や年間上限額は下がります。専門実践教育訓練と同様に、事前の「訓練前キャリアコンサルティング」と「受給資格確認」が必要です。
1.3 《教育訓練給付金③》一般教育訓練
もっとも幅広い講座が対象となっているのが、一般教育訓練給付金です。英検や簿記、オフィス関連の資格取得や技能習得のための講座が対象です。比較的短期間で受講できるものが多く、まずは身近な資格からと考える人に向いています。
給付金は、年間上限10万円を上限に受講費用の20%です。事前手続きは不要で、教育訓練修了後に支給申請します。
ここまで、3種類の教育訓練給付金の概要と講座について解説しました。次章では、2つの「ハロートレーニング」と「高等職業訓練促進給付金」について解説します。
2. 【学びなおし】IT関連や医療事務など!基本無料で学べる!2つの《ハロートレーニング》
次に、ハロートレーニング(公的職業訓練)を紹介します。再就職を目指す人を対象に、テキスト代を除き原則無料で職業訓練を受けられる制度です。
ハロートレーニングには「離職者訓練」と「求職者支援訓練」の2種類があり、面接や筆記試験に合格した人だけが受講できます。対象講座はハローワークインターネットサービスの「職業訓練検索・一覧」で確認できます。
2.1 《ハロートレーニング①》離職者訓練
離職者訓練は、失業保険(雇用保険の基本手当)の受給者向けの職業訓練です。訓練期間中は失業保険を受給しながら訓練を受けることができます。
訓練内容はIT関連や介護、医療事務、経理など多岐にわたり、公共職業訓練施設や民間の教育機関で訓練が行なわれます。
2.2 《ハロートレーニング②》求職者支援訓練
求職者支援訓練は、失業保険(雇用保険の基本手当)を受給できない人向けの職業訓練です。失業保険の給付が終わった人や自営業者、主婦なども訓練を受けることができます。
所定の要件を満たせば、毎月10万円の「職業訓練受講手当」なども受給できます。
3. 【学びなおし】ひとり親を支援!毎月10万円の給付金も?《高等職業訓練促進給付金》
高等職業訓練促進給付金は、ひとり親家庭の親が、国家資格取得を目指して養成機関で修業するときに生活費支援するために支給される給付金です。対象となる資格は、看護師や介護福祉士、保育士、歯科衛生士、情報処理技術者などです。
支給額は、住民税非課税世帯は月額10万円、住民税課税世帯は月7万500円です。研修修了後には「修了支援給付金(最高5万円)」も支給されます。給付金の請求は、ハローワークではなく居住地の市区町村となりますので注意しましょう。
4. 【学びなおし】公的制度を利用するときの注意点
本記事で紹介した公的制度を利用するときに注意したいのは、「申請しなければもらえないこと」と「事前の手続きが必要な講座や訓練が多いこと」です。制度によって対象者や申請方法が異なるため確認が必要です。「お金がないから」「制度内容がわからないから」などの理由であきらめないように、ハローワークや居住地の自治体に相談することをおすすめします。
技術革新の進展や経済環境の変化に対応するために、資格取得や学び直しの重要性が高まっています。費用面の不安から踏み出せない人もいますが、資格取得・学び直しを支える公的制度を利用することで経済的な負担を抑えられます。
公的制度をうまく活用して、キャリアアップや転職に役立つ資格やスキルを身につけましょう。
参考資料
- 厚生労働省「教育訓練給付金」
- 厚生労働省「ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)」
- こども家庭庁「高等職業訓練促進給付金のご案内」
- ハローワークインターネットサービス「ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)」
西岡 秀泰