立春を迎え暦の上では春となりますが、まだ寒さの残る季節です。春からの新年度に向け、生活や働き方を見直す方も多いのではないでしょうか。一方で、外見からは分かりにくい不調や、将来への漠然とした不安を、一人で抱え込んでいる方もいらっしゃるかもしれません。

厚生労働省が昨年10月に公表した「令和6年度 衛生行政報告例」によると、精神障害者保健福祉手帳の所持者数が「154万人」を超えたことが明らかになりました。前年から約10万人増加しており、その増加傾向は依然として続いています。今回は精神障害者保健福祉手帳の目的や主な対象者、そして広がる雇用の可能性について解説します。

1. 【精神障害者保健福祉手帳】制度の目的「どのような疾患が対象になる?」

精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患により日常生活や社会生活に一定の制限が生じている方を対象とした制度です。障がいの状態や程度に応じて交付され、各種福祉サービスや支援につなげることを目的としています。

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3種類の障害者手帳について

出所:厚生労働省「障害者手帳」

対象となる精神疾患には、統合失調症、気分障害(うつ病・双極性障害)、てんかん、発達障害、高次脳機能障害を含む器質性精神障害、中毒性精神障害などが含まれます。いずれも、症状の現れ方や生活への影響には個人差があり、診断名だけで判断されるものではありません。

1.1 うつ病・統合失調症など「対象となる精神疾患」の特性

それぞれの疾患の特性については、厚生労働省の資料をもとに、以下で詳しく見ていきます。

統合失調症

主な特性

  • 発症の原因はよくわかっていないが、100人に1人弱かかる、比較的一般的な病気である。
  • 「幻覚」や「妄想」が特徴的な症状だが、その他にも様々な生活のしづらさが障害として表れることが知られている。

出所:厚生労働省「精神障害(精神疾患)の特性(代表例)」より引用

気分障害

主な特性

  • 気分の波が主な症状として表れる病気。うつ状態のみを認める時はうつ病と呼び、うつ状態と躁状態を繰り返す場合には、双極性障害(躁うつ病)と呼ぶ。
  • うつ状態では気持ちが強く落ち込み、何事にもやる気が出ない、疲れやすい、考えが働かない、自分が価値のない人間のように思える、死ぬことばかり考えてしまい実行に移そうとするなどの症状がでる。
  • 躁状態では気持ちが過剰に高揚し、普段ならあり得ないような浪費をしたり、ほとんど眠らずに働き続けたりする。その一方で、ちょっとした事にも敏感に反応し、他人に対して怒りっぽくなったり、自分は何でもできると思い込んで人の話を聞かなくなったりする。

出所:厚生労働省「精神障害(精神疾患)の特性(代表例)」より引用

てんかん

主な特性

  • 何らかの原因で、一時的に脳の一部が過剰に興奮することにより、発作が起きる。
  • 発作には、けいれんを伴うもの、突然意識を失うもの、意識はあるが認知の変化を伴うものなど、様々なタイプのものがある。

出所:厚生労働省「精神障害(精神疾患)の特性(代表例)」より引用

ここに挙げたのは代表的な例であり、同じ診断名であっても症状の現れ方や、直面する生活のしづらさは人によって大きく異なります。 こうした外見からは分かりにくい困難を抱える方を、社会的に支えるための仕組みが精神障害者保健福祉手帳です。

では、実際にどのくらいの方がこの制度を利用しているのでしょうか。次は、所持者数のデータについて詳しく見ていきましょう。