2026年1月30日より、金(ゴールド)価格は下落傾向にあり、2026年2月2日における国内の店頭小売価格(税込)は1gあたり2万6712円となっています。

しかし、歴史的な価格圏にあることに変わりなく、1年前の1gあたり約1万4000円台から見ると価格が上昇しています。

このような状況から、「今から金投資を始めるのは遅いのでは?」「高値掴みにならないか心配」と感じる方も少なくないでしょう。

価格変動のリスクを抑えながら資産を形成する方法として「純金積立」が注目されています。

「純金積立」は、毎月決まった金額で金を購入し続けることで、価格が高いときには少なく、安いときには多く買う「ドルコスト平均法」の効果が期待できる投資手法です。

本記事では、もし2016年から10年間、毎月1万円の純金積立を続けていたら資産がどうなっていたのか、具体的なシミュレーション結果を交えて解説します。

1. 毎月1万円の「純金積立」を10年継続した場合の評価額は?

過去10年間の実績を基に、毎月コツコツと積み立ててきた資産が、現在の高騰した市場でどれほどの価値を持つに至ったのかをシミュレーションで検証します。

1.1 シミュレーションの前提条件

  • 積立期間:2016年1月〜2025年12月までの10年間
  • 積立方法:ドルコスト平均法に基づき、毎月最初の営業日の価格で1万円分を購入
  • 積立総回数:120回
  • 買付手数料:1.65%(税込)と仮定。毎月の購入資金は手数料を引いた9835円とします。
  • 評価額の算出基準:2026年1月30日時点の店頭買取価格(1グラムあたり2万9381円)を使用します。これは、実際に売却した場合に手元に残る金額を想定したものです。

1.2 驚きのシミュレーション結果

2016年から2025年末にかけて、金の価格は1グラムあたり4000円台から2万3000円台へと大きく変動しました。この期間に積み立てた金の総量を、現在の価格で評価した結果は以下の通りです。

  • 積立総額(元本):120万円
  • 購入した金の合計:約149.23グラム(平均購入単価:約7908円/グラム)
  • シミュレーション時点での評価額:約438万4526円
  • 評価益:約318万4526円

【ポイント】

10年間の積立投資によって、評価益は元本の約265%、金額にして約3.6倍にまで増加しました。

仮に2025年末に売却せずに保有し続けていた場合、直近1カ月間のさらなる価格上昇により、利益はさらに拡大していたことになります。

この結果は「ドルコスト平均法」のメリットをよく表しています。

価格が高い時期は少量、安い時期は多めに購入するというシンプルなルールを10年間継続するだけで、購入タイミングに悩むことなく、着実に資産を成長させられた可能性を示しています。

2. 金1グラムの重さと大きさの目安

投資対象として数字で見ることが多い「金1グラム」ですが、実際の大きさがどの程度かイメージしにくいかもしれません。身近なものと比較して、そのサイズ感を見てみましょう。

金1グラムってたとえばどれくらいの大きさ?2/2

金1グラムってたとえばどれくらいの大きさ?

出所:LIMO編集部作成

  • 1グラム:体積はマイクロSDカードの約3分の1。面積でいえば、マイクロSDカード(約15mm×11mm)の半分にも満たない小さなサイズです。
  • 3グラム・5グラム:500円玉より一回り小さい程度の大きさで、ペンダントトップやチャームとしても利用される重さです。
  • 10グラム:切手一枚分ほどの面積に厚みを持たせたプレートを想像すると良いでしょう。金の密度が高いため、手に乗せると見た目以上の重さを感じ始めます。
  • 100グラム:クレジットカードより二回りほど小さいサイズ感ですが、数ミリの厚みがあります。小型スマートフォンよりもコンパクトながら、手に持つとその重さに驚くでしょう。

今回のシミュレーションで得られた「149.23グラム」は、100グラムのインゴット1本と50グラムに近い量を合わせたボリュームに相当します。手のひらに収まるほどの大きさでありながら、430万円を超える価値がそこには凝縮されているのです。

3. 純金積立を始める前に知っておきたい「メリットと注意点」とは?

純金積立は魅力的ですが、開始する前にリスクや税金の仕組みについて正しく理解しておくことが大切です。

  • インカムゲインは生まない「守り」の資産:金は株式の配当や預金の利子といったインカムゲインを生まない資産です。利益はあくまで価格変動による売却益(キャピタルゲイン)から得られます。
  • 各種手数料の存在:年会費や購入時の手数料が発生します。運用効率を高めるためには、ネット証券など手数料が比較的安いサービスを選ぶことが重要です。
  • NISA制度の適用外:純金積立はNISA(少額投資非課税制度)の対象外です。ただし、金に関連するETF(上場投資信託)や投資信託であれば、NISA口座で取引できるケースもあります。

【重要】取引方法によって税金の扱いが変わる点に注意が必要です。金の売却で得た利益は通常「譲渡所得」に分類されますが、課税方法は取引形態によって異なります。

  • 現物取引(インゴットなど実物の受け渡しがある場合):保有期間が5年を超えると、課税対象となる所得が半分に軽減されるという大きな税制上のメリットがあります。
  • 現物を伴わない取引(一部の証券会社のサービスなど):この場合、「分離課税」として扱われることがあり、保有期間にかかわらず一律20.315%の税率が適用される可能性があります。このケースでは所得が半分になる特典は受けられないため、契約前に必ず確認しましょう。

金地金を売ったときの所得は、原則、譲渡所得として、給与所得など他の所得と合わせて総合課税の対象となります。

譲渡所得以外の所得として課税される場合
金地金の譲渡が営利を目的として継続的に行われている場合には、その実態に応じて事業所得または雑所得となります。

なお、金投資口座や金貯蓄口座などからの利益は金地金の現物の譲渡とは異なり、実態は金融取引に近いことから、金融類似商品の収益として一律20.315パーセント(所得税および復興所得税15.315パーセント、地方税5パーセント)の税率による源泉分離課税となります。

金投資口座や金貯蓄口座などからの利益は、源泉徴収だけで課税が終了しますので、他の所得と合算して確定申告をすることはできません。

引用:国税庁「No.3161 金地金の譲渡による所得」

4. 相場に惑わされず、長期的な視点で資産を守る

ここまで、もし2016年から10年間、毎月1万円の純金積立を続けていたら資産がどうなっていたのか、具体的なシミュレーション結果を交えて解説しました。

1gあたり3万円に迫っていた1月下旬の金(ゴールド)価格と、2月時点での価格を比較すると「今からはじめるのはもう遅い」と感じてしまうかもしれません。

しかし、金投資の本質は、短期的な価格変動で利益を狙うことだけではなく、資産の一部を「価値が劣化しにくい実物資産」に換えて長期的に守ることにもあります。

特に、わずか1gでも数万円の価値を持つ金は、保管場所に困らずに大きな資産を保有できる優れた手段といえるでしょう。

一括での購入には勇気が必要ですが、積立であれば少額からコツコツ続けることも可能です。

価格変動リスクなどが伴いますが、長期的な視点での資産形成の選択肢の1つとなるでしょう。

資産運用は利益が期待できるだけでなくリスクが伴うため、家計やライフスタイル、保有している資産全体のバランスを考慮して資産形成の方法をよく検討することが大切です。

※当記事は再編集記事です。

参考資料