2026年2月に入り、寒さが続く日々ですが、年金を受給されている方々にとっては、来年度の生活設計を考える時期かもしれません。
2026年度の年金額は4年連続でのプラス改定となりましたが、依然として物価の上昇には及ばず、実質的には目減りすることが考えられます。
このような状況下で、年金生活者の暮らしを支えるための恒久的な支援制度として、年金に上乗せされる形で支給される「年金生活者支援給付金」があります。
なお、年金生活者支援給付金の給付基準額は、2026年度に3.2%増額されることが決定しました。
基礎年金を受給していて、年金やその他の所得が一定基準額以下となる場合、年金生活者支援給付金の支給対象になります。
物価高の影響を少しでも和らげるための支援策として注目されていますが、どのような方が支給対象となるのでしょうか。
この記事では、現在のシニア世代が受け取っている年金の平均額を確認しながら、「年金生活者支援給付金」の制度内容、支給要件、そして具体的な金額についてわかりやすく解説していきます。
ご自身の状況と照らし合わせながら、制度への理解を深める一助となれば幸いです。
1. 厚生年金の受給額は個人差が大きい?月額1万円未満から30万円超まで様々
厚生労働省が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金の平均的な受給月額は、国民年金(老齢基礎年金)が約5万円、厚生年金(国民年金部分を含む)では約15万円となっています。
ただし、これらの数値はあくまで平均であり、実際の受給額には大きな個人差があります。
例えば、厚生年金を月額30万円以上受け取る方がいる一方で、国民年金と厚生年金を合わせても月額3万円に満たない方もいるなど、受給額は幅広い範囲に分布しています。
年金収入とその他の所得を合計しても、所得が一定の基準を下回る場合には、「年金生活者支援給付金」の支給対象となる可能性があります。
2. 2026年度の年金生活者支援給付金は月額5620円へ。前年度比3.2%の増額に
年金生活者支援給付金は、年金収入やその他の所得が一定基準に満たない年金受給者の生活を支援する目的で、2019年に導入された制度です。
この給付金は、2カ月に1度、公的年金に上乗せされる形で支給されます。
この制度には、受給している年金の種類に応じて以下の3つの給付金があり、それぞれに支給の要件や金額(基準額)が定められています。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
2.1 2026年度における年金生活者支援給付金の具体的な支給額(給付基準額)
2026年度の年金生活者支援給付金の額は、前年度から3.2%の引き上げとなりました。
【2026年度の月額】
- 老齢年金生活者支援給付基準額:5620円
- 障害年金生活者支援給付金:1級 7025円・2級 5620円
- 遺族年金生活者支援給付金:5620円
老齢年金生活者支援給付金の場合、この基準額を基に、個々の保険料納付済期間などに応じて実際の給付額が算出されます。
上記の金額はいずれも月額表示です。実際の支給日には2カ月分がまとめて年金に上乗せされます。
もし上記の金額を満額受給できる場合、1回の支給で約1万1000円、年間では約6万7000円を受け取れる計算になります。
参考として、厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2025年3月時点での平均給付月額(※)は、老齢年金生活者支援給付金が4146円、障害年金生活者支援給付金が5727円、遺族年金生活者支援給付金が5228円でした。
※2025年3月時点で認定されている方の平均給付月額です。
3. 年金生活者支援給付金の支給対象となる3つの要件とは?
年金生活者支援給付金を受け取るための支給要件について確認していきましょう。
「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」については、それぞれ障害基礎年金または遺族基礎年金を受給しており、かつ前年の所得が479万4000円以下の方が対象です。
この所得判定には、障害年金や遺族年金といった非課税収入は含まれません。
また、扶養親族の人数に応じて所得の基準額は引き上げられます。
一方で、「老齢年金生活者支援給付金」は、本人の所得以外にもいくつかの要件が加わります。
3.1 「老齢年金生活者支援給付金」を受け取れる人の条件
老齢年金生活者支援給付金は、以下の要件をすべて満たす方が支給の対象となります。
- 65歳以上で老齢基礎年金を受給している
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税である
- 前年の公的年金などの収入金額とその他の所得(給与所得や利子所得など)の合計額が、昭和31年4月2日以降に生まれた方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は80万6700円以下である
老齢年金生活者支援給付金の所得判定においても、障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれません。
また、所得が基準額をわずかに超えてしまい給付の対象外となる方と、基準額ぎりぎりで対象となる方との間で不公平が生じないよう、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という制度が設けられています。
補足的老齢年金生活者支援給付金について
昭和31年4月2日以降に生まれた方で所得合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の方、また昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下の方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
この給付金は、所得が増えるにつれて給付額が段階的に減少する仕組みになっています。
4. 年金生活者支援給付金は申請が必要!自動的には上乗せされない点に注意
年金生活者支援給付金を受け取るには、請求手続きが必要です。
支給要件を満たしていても、自動的に年金に上乗せされるわけではない点に注意が必要です。
すでに年金を受給している方で、所得の減少などにより新たに給付金の対象となった場合、毎年9月1日以降に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次送付されます。
4.1 毎年9月頃に届く「緑の封筒」とは?年金受給中の方向けの手続き
※すでに年金を受け取っている方の中でも、繰上げ受給をされている場合は書類の様式が異なります。
これから65歳になる方には、誕生日の3カ月前に老齢基礎年金の請求書とあわせて給付金の請求書が届きます。
同封されている請求書に必要事項を記入し、老齢基礎年金の請求書と一緒に提出してください。
4.2 申請手続きは毎年行う必要があるのか?
年金生活者支援給付金は、一度請求書を提出して認定されれば、支給要件を満たし続ける限り、2年目以降は手続き不要で継続して受給できます。
継続して支給されるかどうかの判定は前年の所得に基づいて行われ、その結果は毎年10月分(12月支給分)から1年間適用されます。
もし支給対象外となった場合は、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が郵送されます。
なお、毎年度(4月分から)の支給金額については、毎年6月上旬に送付される「年金生活者支援給付金 支給金額(改定)通知書」および「年金生活者支援給付金 振込通知書」で確認することができます。
5. まとめ
今回は、現在のシニア世代が受け取っている年金の平均額や、「年金生活者支援給付金」の制度内容、支給要件、そして具体的な金額について解説しました。
公的年金の平均月額は国民年金(老齢基礎年金)で約5万円、厚生年金(国民年金部分を含む)で約15万円です。
2026年度の年金生活者支援給付金は、前年度から3.2%引き上げられることになりました。
これから65歳を迎える方には、誕生日の3カ月前に老齢基礎年金の請求書に給付金請求書が同封されて届きます。
「年金生活者支援給付金」は、たとえ支給要件を満たしていても、請求手続きをしないと年金に上乗せして支給されないため、注意が必要です。
支給要件を満たしている場合は、請求書に必要事項を記入し、請求漏れがないように手続きを行いましょう。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金の概要」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金を請求する方の手続き」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求手続きのご案内(令和7年度版)」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
- 総務省「個人住民税」
- LIMO「来月2月の給付金【年金生活者支援給付金】2026年度の給付基準月額5620円「対前年度プラス3.2%アップ!」」




