3. 年金生活者支援給付金はなぜ年金よりも伸び率が高いの?

2026年度の年金生活者支援給付金は、前年比3.2%の増額です。一方、国民年金(基礎年金)は前年比1.9%、厚生年金は前年比2.0%の増額となっています。年金生活者支援給付金のほうが、年金よりも伸び率が高いのは「年金改定の仕組み」と「マクロ経済スライドによる調整」が要因です。

年金改定の際は、以下の2つの指数を用います。

  • 物価変動率:前年の消費者物価指数の変動率。
  • 名目手取り賃金変動率:2年度前から4年度前までの3年度の実質賃金変動率の平均に、前年の物価変動率と3年度前の可処分所得割合変化率(0.0%)を掛けたもの。

年金生活者支援給付金は、物価変動率をそのまま改定率とします。2025年度の物価変動率は3.2%であるため、前年比3.2%の上昇となるのです。

一方、国民年金および厚生年金は、それぞれの指数の状況に応じて、いずれかを改定率に採用します。2026年度の改定では、物価変動率が3.2%、名目手取り賃金変動率が2.1%と「物価>賃金」となっていたため、賃金変動率が改定率となります。そのため、物価変動率3.2%を用いて改定している年金生活者支援給付金よりも、伸び率が低くなっているのです。

そして、マクロ経済スライドによる調整も、伸び率に差を生む要因となっています。マクロ経済スライドとは、現役世代の保険料負担が過度なものにならないよう、年金の給付水準を調整する仕組みです。調整率は「被保険者数の変化率+平均余命の伸び率を勘案した一定率」によって計算され、2026年度の改定では以下のような数値となりました。

  • 被保険者数の変化率(+0.1%)+平均余命の伸び率を勘案した一定率(▲0.3%)=▲0.2%
    ※厚生年金の調整率は、2030年までに現行の数値を調整することから、▲0.1%となっている。

よって、名目手取り賃金変動率から調整率を差し引き、国民年金は1.9%、厚生年金は2.0%の伸び率となっているのです。

年金生活者支援給付金は物価に応じた水準となっていますが、国民年金・厚生年金の給付額は物価の伸びに追いついていません。加えて、高齢化社会により社会保障費は拡大し続けており、現役世代が納める社会保険料負担はますます大きくなっています。国はマクロ経済スライドの仕組みを早期終了させることも検討しており、年金のあり方については今後もさまざまな議論が生まれそうです。

次章では、年金生活者支援給付金の申請方法を解説します。