メディアはSMAP解散騒動のニュース一色に

年初来世界的に株価や原油価格が大幅に下落していますが、メディアのニュースは国民的グループと言われるSMAPの解散騒動一色になりました。本来は経済問題だけでなくテロや核開発問題など考えるべき論点が多いはずですが、すっかりかき消されてしまいました。

ひとまずSMAPメンバー全員が地上波テレビの生放送に出ることで一連の騒動は終息に向かっている模様です。メンバー1人1人が自由に自分の道を究める姿を見たい気持ちもありますが、今後どう展開するでしょうか。

JVCケンウッド、アミューズ、エイベックスの株価はどうなったか?

この問題を株価の視点で考えてみましょう。昨年12月30日の終値と1月19日の終値を比較します。この間東証株価指数は▲10%下落しました。SMAP問題関連株の動きはどうだったでしょうか。

まずSMAPのレコードレーベルであるビクターエンターテイメントを抱えるJVCケンウッド(6632)ですが、この期間株価は▲11%下げました。東証株価指数とほぼ同レベルの動きです。JVCケンウッド全体からみれば今回の騒動の影響は小さかったと言えそうです。

数は限られますが、このほかの芸能関係の銘柄を見ておきましょう。アミューズ(4301)は同期間▲11%下落、エイベックス・グループ・ホールディングス(7860)は▲15%の下落です。メインタレントの離脱リスクについて慎重な見方が若干ながら広がっているのではないでしょうか。

テレビ局の株価はひとまず勝ち組

次に在京キー局の株価を見てみましょう。フジ・メディア・ホールディングス(4676)、日本テレビホールディングス(9404)、TBSホールディングス(9401)、テレビ朝日ホールディングス(9409)、テレビ東京ホールディングス(9413)は同期間にそれぞれ▲8%、▲7%、▲9%、▲9%、▲9%下落しました。僅かわずかではありますが、東証株価指数に比べて相対的に良いパフォーマンスでした。

SMAPの解散が避けられたことを好感したのか、SMAPへの出演料を今回の一件のあと抑制できるとみているのか、あるいはSMAP以外の低コストのジャニーズグループを積極的に登用できる可能性が高まったのか、さまざまな解釈ができそうです。

テレビ局の株価が下げに強いもうひとつの理由

しかしテレビ局の株価を考える際、もっと重要なポイントがあります。それは先ほどあげた5社いずれの株価も一株純資産を大幅に下回って取引されていることです。PBRは高いものでも0.9倍、低いものでは0.5倍になっています。赤字体質とは言えないため、純資産が株価の一定の下支え要因になっていると言えるでしょう。

これだけ見えればよい話と思われますが、実はPBRが1割れであるのは、ROEが低いことの裏返しにほかなりません。上場株式会社であるテレビ局は、出演タレントの行方に頭を悩ませるよりも、いかに資本効率を8%まで早く改善させることができるのか、真剣に取り組まざるを得ないことでしょう。

【2016年1月20日 投信1編集部】

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LIMO編集部