日経平均は平成の30年でいくら下落?
2019年5月1日、新天皇陛下が即位され、令和の新しい時代が始まりました。
平成最後の取引となった4月26日の日経平均株価の終値は、22,258円73銭でした。昭和最後の取引となった1989年1月6日の日経平均の終値は3万0209円54銭でしたので、平成の30年あまりで株価は約7,950円下落したことになります。
振り返れば平成元年の大納会の1989年12月29日には終値ベースで38,915円と、史上最高値を付けました。「いずれ日経平均は10万円に」といった強気の発言も聞かれましたが、それはバブル崩壊の前兆でした。翌営業日の平成2年の大発会で200円以上下落すると、4か月で1万円以上下落、10月には2万円を割り込みました。
その後、一時回復する局面もあったものの総じて軟調。2008年にはリーマン・ショックも起こり、2009(平成21)年3月10日には7,054円と、バブル崩壊後の最安値となりました。
ただしその後はアベノミクスなどの影響もあり、株価はじりじりと回復。2018年10月2日には24,270円と、約27年ぶりの高値となっています。
史上最高値と比べるとまだ6割弱といったところですが、明るい兆しもあります。というのは、時価総額はすでにバブル期のピークである約606兆円を上回っています。この30年あまりで、トヨタ自動車(+15.2兆円)、キーエンス(+8.3兆円)、日本電産(+4.6兆円)、ソニー(+4.6兆円)など、時価総額を増やしている企業も数多くあります。
このほか、平成になってから上場した企業も伸びています。ソフトバンクグループの時価総額は今や、トヨタ自動車に次ぐ2位です。ファーストリテイリング、楽天も平成になってからの上場ですし、楽天は創業も平成になってから(平成9年)です。
この連休中は大きなリスクもなく、米国株も高値圏にあります。連休明けかつ令和初の取引は堅調に始まりそうです。
令和の時代になり、日本株が最高値を更新するためには、企業が改革を続け、力強く成長し続けることが求められます。まずは、足元で、トヨタ、ソフトバンクグループをはじめ、大手企業の決算発表が本格化することから、これらの動向に注目したいところです。
最安値を付けて以降、中長期的には上昇トレンドを継続中
平成時代の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。
月足などの中長期的なチャートで見ると、1989年(平成元年)12月に38,957円の高値を付けた後、翌月から長い陰線が続き下落。1996年(平成8年)あたりにいったんは戻り高値を付け、2000年(平成12年)にはその高値を試すような動きもありましたが、上値を押さえられて反落。中長期的な下降トレンドラインが確定しました。
その後の下落については、2009(平成21)年3月の7,054円(終値ベース)の平成最安値を記憶している人が多いでしょう。ところが実は、その6年ほど前の2003年(平成15年)4月にも一時、7,603円まで下落している時があるのです。
その後、2007年(平成19年)には一時、18,300円台まで回復しましたが、その後また下落してしまいました。つまり、2009(平成21)年3月10日の最安値は、Wボトムの2番底のような形での下落でした。その後は底を打ち上昇。2016年(平成28年)にはWボトムのネックラインも上抜け、上昇トレンドが確実になりました。現在もまだその上昇トレンドを継続中です。
「2018年(平成30年)の10月以降、大きな調整があったではないか」と思う人もいるかもしれませんが、これも上昇トレンドラインの下限付近で反発しており、結果的には「押し目買いの好機」でした。
「平成の相場は厳しかった」と思い出す人も多いでしょうが、7,054円の最安値を付けて以降、チャートの形は中長期的には「買い継続」で、一度も「売り」サインは出ていないのです。
ただし、2015年6月~2016年6月の調整のように下落が続くと、資金的にもメンタル的にも苦しくなります。平成に限りませんが、中長期的な視点を持ちながら、短期的な売買を組み合わせていくのも一つの方法でしょう。
下原 一晃