2026年を迎えましたが、相変わらず物価の高騰が家計に負担をかけています。
主な収入源が年金になるシニア世代の方のなかには、お金のやりくりに頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
所得が一定の基準を下回る場合、年金に上乗せして「年金生活者支援給付金」を受給できます。
公的な支援制度を賢く活用し、物価高騰の時代を乗り切りましょう。
本記事では、年金生活者支援給付金の内容や受給要件、支給額について解説していきます。
厚生年金・国民年金の平均受給額もご紹介しますので、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
1. 【年金本体】いまどきシニア、厚生年金・国民年金をどのくらいもらっている?
まず、シニア世代が受給している厚生年金・国民年金の平均的な受給額をご紹介します。
厚生労働省年金局の「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、厚生年金・国民年金の平均受給額を見ていきましょう。
1.1 厚生年金の平均受給額
厚生年金は、会社員・公務員の方などが加入する年金制度です。国民年金に上乗せする形で支給されるため、「公的年金制度の2階部分」と呼ばれることもあります。
2024年度末時点での厚生年金保険(第1号)の平均受給額は以下の通りです。
- 全体:15万289円
- 男性:16万9967円
- 女性:11万1413円
しかし上記の金額はあくまでも平均値、かつ国民年金(老齢基礎年金)部分が含まれています。
30万円以上の年金を受給する世帯がある一方、10万円に満たない世帯も多く存在します。
厚生年金への加入期間や収入などで受給額に差があることに注意が必要です。
1.2 国民年金の平均受給額
国民年金は、20歳以上60歳未満のすべての国民が加入する年金制度です。
厚生年金に加入していない自営業者や農業・漁業者、無職、学生なども国民年金には加入するため、公的年金制度の1階部分と言われています。
2024年度末時点での国民年金の平均受給額は以下の通りです。
- 全体:5万9310円
- 男性:6万1595円
- 女性:5万7582円
厚生年金による上乗せ分がないため、年金水準そのものが低めです。
国民年金のみに加入している方は、年金以外の収入源や貯蓄の取り崩し、公的給付の活用などを検討する必要があるでしょう。
2. 【2026年度】年金生活者支援給付金《老齢・障害・遺族》4月分より3.2%増額へ
年金生活者支援給付金は、公的年金やその他の所得が一定基準を下回る方を対象に、年金に上乗せして支給される給付金です。
老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金、それぞれに設けられた給付金ごとに、給付基準額が異なります。
ここでは、3種類の年金生活者支援給付金について、給付基準額を見ていきます。
2.1 年金生活者支援給付金の支給額
年金生活者支援給付金は、物価変動率を踏まえ年度ごとに見直されます。
2026年1月23日、厚生労働省が公表した2026年度(4月分以降)の年金生活者支援給付金の給付基準額は、前年度より3.2%引き上げられて、以下の金額となりました。
- 老齢年金生活者支援給付金:月額5620円
- 障害年金生活者支援給付金:1級 月額7025円、2級 月額5620円
- 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円
老齢年金生活者支援給付金については、上記の基準額をもとに、保険料納付済期間等に基づいて支給額が計算されます。
3. 「年金生活者支援給付金」の受給資格は?
年金生活者支援給付金は、一定の基準を満たした方を対象に支給される給付金です。
ここでは給付金の受給資格について見ていきます。
3.1 年金生活者支援給付金の受給要件
年金生活者支援給付金の受給要件は以下の表の通りです。
年金生活者支援給付金の受給要件4/5
出所:各種資料をもとに筆者作成
老齢年金生活者支援給付金
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者である。
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税である。
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は90万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は90万6700円以下(※2)である。
※1:障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2:昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
障害年金生活者支援給付金
- 障害基礎年金の受給者である。
- 前年の所得(※1)が479万4000円(※2)以下である。
※1:障害年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2:扶養親族等の数に応じて増額。
遺族年金生活者支援給付金
- 遺族基礎年金の受給者である。
- 前年の所得(※1)が479万4000円(※2)以下である。
※1:遺族年金等の非課税収入は、年金生活者支援給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2:扶養親族等の数に応じて増額。
上記のように、障害年金と遺族年金の受給者は、前年の所得が479万4000円以下(扶養親族等の数に応じて増額)で要件を満たします。
一方、老齢年金の受給者は同一世帯の全員が市町村民税非課税かつ、前年の所得が一定基準を下回る必要があります。
4. 「年金生活者支援給付金」の請求手続き
年金生活者支援給付金は、請求手続きをしないと受給できません。
すでに年金受給中の人が支給要件を満たすと「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が入った緑の封筒が毎年9月から送付されるので、請求手続きを行いましょう。
請求は電子または郵送のいずれかで手続きできます。
氏名などの必要事項を入力または記入し、請求手続きを行いましょう。
なお、一度手続きをして引き続き支給要件を満たしている場合、翌年以降の手続きは原則不要です。
5. 申請しないと受け取れない《国の給付金》を、上手に活用しましょう
所得が一定基準を下回る場合に受給できる「年金生活者支援給付金」は、物価高騰が続く今の家計にとって大きな支えとなります。
新たに受給要件を満たす方には、例年9月以降、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が同封された「緑の封筒」が届きます。
ここで最も注意したいのは、この給付金は「手続きをしない限り受給できない」という点です。せっかくの受給権利を逃さないよう、緑の封筒が届いたらすぐに中身を確認し、忘れずに請求手続きを行いましょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
丸山 大輝