バブル期の「夫婦像」に苦しめられる今の子育て夫婦
日本がバブルに沸いた88年、栄養ドリンクのCM内で使われた「5時から男」という言葉が流行語となりました。
仕事仲間は、場合によっては自分の家族よりも濃密なつながりがあるもうひとつの家族のようなもので、仕事後は夜の街で飲み歩き、接待費で高級な和食を食べ、連れだって女性がいる店に行き、男性同士の絆を深める……。残業がない日は、5時からが楽しい。家庭は妻に任せておけばいい。
筆者が営業職として働いていた2000年代も、そのような意識を引きずる男性社員は多くいました。
その後、出産して「子どもと一緒に夫を待つ」という体験を通じ、男性たちが「これも仕事」と飲み歩く間、当時、幼い子どもを育てていた妻たちが味わっていたかもしれない家庭での閉塞感を想像せずにはいられませんでした。
2年前の「炎上CM」が教えてくれたことは?
その頃から世論はずいぶん変わり、男性の退勤後の過ごし方への眼差しは少しずつ厳しくなっています。
2年前、ある企業のCMが大炎上したのは記憶に新しいところです。今は起訴中の俳優・新井浩文被告が朝のゴミ出しを担当する子育て中の父親を演じ、子どもの誕生日に早く仕事を切り上げたにも関わらず、上司に怒られた後輩を元気づけるために1杯ひっかけて、妻の不機嫌を背に風呂に入るというストーリーでした。