意外に知られてない?「アイスクリームの日」
毎年5月9日は「アイスクリームの日」です。
日本アイスクリーム協会のホームページによれば、「アイスクリームの一層の消費拡大を願って、東京オリンピック開催年(1964年)に、アイスクリームのシーズンインとなる連休明けの5月9日に記念事業を開催し、あわせて諸施設へアイスクリームのプレゼントをしました。以降、毎年5月9日を“アイスクリームの日”として、この日を中心に各地区で各種イベントと施設へのアイスクリームのプレゼントを実施しています。」となっています。
業界が旗振り役となって制定した数多くある記念日の1つのようですが、ネットで検索した限りでは、各種イベントはなかなかの盛り上がりを見せているようです。確かに、“アイスクリームが大好きだ”という人は珍しくありませんが、“アイスクリームが嫌いだ”という人は非常に少ないような気がします。
ところで現在、日本のアイスクリーム市場はどのような状況にあるのでしょうか?
結論から言うと、アイスクリーム市場(注1)は安定した成長が続いています。2008年度に3,845億円だった市場は、9年後の2017年度には5,114億円に拡大しました。この間における年間平均成長率は+3.2%ですから、急成長とは言えませんが、食品市場の中では安定的に伸びていると見ていいでしょう。
注1:アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓の合計販売金額ベースです。
アイスクリームの売れ行きが悪かった年は?
さて、アイスクリームというと、その売れ行きが夏の気候に左右されるイメージが強いと推察されます。確かに、年間を通してみれば7~8月が最需要期であり、実際、記録的な猛暑となった2010年は前年比+6.6%増と高い伸びを示しています。夏季気候に左右されるのは間違いありません。
一方で、この10年間で前年割れとなったのが、リーマン・ショックの影響が直撃した2009年と、東日本大震災が起きた2011年の2回だけだったことから、景気変動の波を受けていることも分かります。やはり、個人消費動向に依存するところが大きいのでしょう。
また、消費増税が実施された2014年にも伸び率がごくわずかに止まっていることも、それを証明する形となっています。
それにしても、アイスクリームを好むと考えられる子供の人口減少や、いわゆる“ダイエットブーム”などを勘案すると、アイスクリーム市場が年平均+3%以上伸びているのは、少なからず違和感があります。前掲の市場データをもう少し詳しく見てみましょう。
日本アイスクリーム協会は、販売金額の他に、販売物量(キロリットル)も公表しています。その販売物量は、直近9年間(2008年~2017年)の平均成長率が+1.2%増に止まっています。つまり、販売物量が+1%強の増加に対して、販売金額が+3%強の増加を示したのですから、単純に考えるとアイスクリームの単価上昇が見て取れます。
“プチ高級化”と言ったら言い過ぎなのでしょうか?
好採算が続くアイスクリーム事業の懸念材料は?
単価上昇で思い出されるのが、ロングセラー商品である赤城乳業のアイスキャンデー「ガリガリ君」が、2016年4月に25年ぶりの値上げとなったニュースです。それまでの販売価格60円を70円に引き上げるものでしたが、10円の値上げとはいえ、値上げ率にすれば+17%と大きなものでした。