宝くじのなかでも大きな話題となる「年末ジャンボ宝くじ」。第770回全国自治宝くじの1等の当選金額は7億円です。

1等:7億円(24本)

1等の前後賞:1億5000万円(48本)

1等の組違い賞:10万円(4776本)

2等:1000万円(72本)

3等:100万円(2400本)

4等:10万円(9万6000本)

1等・前後賞・2等の当選本数は少な目ですが、組違い賞・3等・4等と見ていくと、当選本数が多く見えます。

宝くじの期待値

たくさんの当選本数が表示されていると当たりそうな気がしてきます。しかし宝くじについては「当せん金付証票法(第5条)」により、払戻率は「発売総額の5割に相当する額を超えてはならない」と定められているのです。発売総額の半分ほどしか払戻金が発生しない仕組みとなっています。

つまり、宝くじの「期待値」を考えると、買った人全体の損益としては「マイナス」なのです。それでも宝くじは人気があります。買う人が多いのはなぜなのでしょうか。

宝くじを購入する心理

宝くじの払戻金は発売総額の半分に届きません。しかし人間は、とても小さな確率でも、現実よりも大きく感じるようにできているのです。行動経済学ではこれを「確率加重関数」と呼んでいます。

たとえば飛行機について考えてみると、統計的には事故発生割合の低い、かなり安全な交通手段なのです。

しかし大事故の印象が強く、利用に恐怖を感じる人が多い面もあります。実際の事故の確率は低いのですが、より高く感じてしまうのです。

宝くじについても、「実際に高額当選する確率」はごくわずかなのに、当たりそうな気がする。「もし当たったら何に使おう」とワクワクする。

これが宝くじ購入の原動力となっているのではないでしょうか。

確率だけではない保険の重要性

確率で考えると低いものであっても、保険に関しては別の考え方が必要です。

もしもに備えて多くの人が保険に加入しますが、仮にもしものことが起こる可能性が低かったとしても備えておくべきことなのです。

宝くじの購入とは異なり、保険は家族の人生を支える手段になります。生命保険も火災保険も自動車保険も、万が一のリスクに備えると言う意味ではとても重要です。

確率的には低いものであるとしても、保険料を支払って備えていく人生設計は合理的な方法なのです。

宝くじの売上げが落ちている

大きな夢を運んでくれる宝くじですが、近年の売り上げは減少傾向が続いています。総務省の発表によると、2017年度の売上額は7,866億円と、前年度より6.9%の減少。さらにピークだった05年と比較すると、3割も売り上げが減少し、ナンバーズやロトなどの「数字選択式くじ」などの売り上げも減少傾向にあります。

このような流れを見ると、「もし宝くじが当たったら」という「夢」を買わなくなっている傾向にあるのかもしれません。

宝くじの売り上げがピークだった05年よりも、現在の方が投資先や方法は多種多様です。仮想通貨など、だれでも簡単に入手可能な投資が増えました。またバブル景気を経験していない世代は、不確かな夢など見ずに堅実に貯蓄に励む人が多いのかもしれません。お金持ちになるには

誰もが「お金持ちになりたい」と考えるものですが、国税庁によれば、日本の平均的な年間給与所得は400万円強です。宝くじが当たるような幸運に恵まれない限り、資産を急に何倍にも増やせる可能性はほとんどありません。

お金に余裕のある生活を送りたいのなら、まずは自分の資産状況を管理する生活にシフトしましょう。

「資産を何歳までにいくら増やしたい」という明確な目標を立てておくことで、お金に振り回されずマネジメントできる生活に変わってきます。

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

LIMO編集部