4. 60歳代の50.7%が「年金だけじゃ日常生活費もまかなえない」と回答。その背景を探る
家計調査の平均データでは毎月約3万円の赤字という結果でしたが、実際のシニアは日々の年金生活に対してどのように感じているのでしょうか。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の調査データから、単身世帯の「年金に対する意識」と「ゆとりがない理由」を読み解いてみましょう。
4.1 60歳・70歳代世帯「年金に対する意識・ゆとりがない理由」
年金に対する意識
60歳代単身世帯
- 日常生活費程度もまかなうのが難しい:50.7%
- ゆとりはないが日常生活費程度はまかなえる:40.7%
- 年金でさほど不自由なく暮らせる:8.6%
70歳代単身世帯
- 日常生活費程度もまかなうのが難しい:35.5%
- ゆとりはないが日常生活費程度はまかなえる:52.2%
- 年金でさほど不自由なく暮らせる:12.3%
【ゆとりがない理由(単身世帯・主な回答)】
- 60歳代: 物価上昇等(51.0%)、医療費の個人負担増(22.3%)、年金支給額の切り下げ(16.0%)、介護費の個人負担増(16.0%)
- 70歳代: 物価上昇等(54.1%)、医療費の個人負担増(22.6%)、介護費の個人負担増(19.8%)
このデータからは、単身世帯の60歳代の半数以上(50.7%)が「年金だけでは日常生活費すらまかなうのが難しい」という厳しい現実を抱えていることがわかります。
その最大の理由は、年代を問わずダントツで「物価上昇等(50%超)」です。さらに「医療費」や「介護費」の負担増を理由に挙げる人も多く、限られた年金収入に対して、コントロールしにくいインフレや医療・介護コストが生活を圧迫している実態が浮き彫りになっています。
5. まとめ
公的年金制度は、社会情勢や働き方の多様化に合わせて常にアップデートされています。
しかし、データが示す通り、現在の単身シニア世帯の多くは毎月約3万円の赤字を抱えているだけでなく、「物価上昇」や「医療費・介護費の負担増」により、半数近くが日々の生活費すらまかなうのが難しいという強い不安(実感)を抱えながら暮らしています。
これからの老後生活においては、単に「もらえる年金額を増やす工夫」をするだけでなく、インフレによる生活費の高騰や、加齢に伴う医療・介護の固定費増を「リアルなリスク」として事前に見積もっておくことが欠かせません。
ご自身のライフプランに合わせて、いつまでどのように働き収入の柱を維持するのか。そして、私的年金や資産形成でいかに不足分を補うか。迫りくる物価高や医療費負担に負けない「年金+α」の備えを、改めて考えてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
マネー編集部家計班
